戦争の過ちを二度と繰り返さないために

女性は政治を変えられるか

2016年04月21日 09:33

 

市川房枝記念会女性と政治センター・女性参政70周年記念事業

(2016.4.18 東京港区憲政記念会館)

 

リポーター:「9条の会さかい」事務局 大竹勉

 

 戦後初の総選挙は終戦の翌年(1946.4.10)。女性たちの悲願だった女性参政権が実現した。市川房枝たちが戦前からの過酷な状況のなかで獲得運動を継続してきた成果である。その時、39人の女性議員が誕生した。それから70年が経過、しかし、多くの先人たちの努力にもかかわらず、現状は女性国会議員比率において衆院で9%と世界的に154位の後進国である。一方、参院でも15%に過ぎない。このような現況から脱却するために、「女性は政治をかえられるか」をテーマにシンポジウムが開かれた。

 

今回、内海和子町議に草彅優子会員と事務局大竹が参加した。定員450名の会場は満席だが、その多くは女性だ。男性は一割に満たないように見受けられた。大竹もその中の一人に加われたことを喜ばしく思えた。それ故に、シンポジウムコーディネーターの堂本暁子氏(元参議員・元千葉県知事)から男性参加者に対して賛辞が贈られた。まさに光栄の至りである。

 

1.基調講演

先ずは基調講演者に、論壇の辛口毒舌家(ご自身も仰っている)である浜矩子氏が登壇した。私には初めて聞く講演であり、最も関心を持ったイベントでもあった。浜矩子氏は私の期待通りに現状を評してくれた。それを私の印象で報告する。

 

政治を担う女性たちよ、荒れ野で叫ぶ声たるべし

 浜矩子氏(同志社大学大学院教授)

 

 アベノミックスに市民権を与えてはいけない。そのために、私は「アホノミックス」と呼んであちこちで連発している。その思惑通り、次第に定着しつつあると感じている。その魂胆は、そうすることによってニュースキャスターが「アホノミックス」と言ってしまうようになるだろう。やがては安倍首相本人が「アホノミックス」と口を滑らすまで連発したい(会場大拍手)。そのように余命いくばくもないアホノミックスとは、下心の経済政策であり、その全てに下心がある。

 

 安倍首相が掲げた「一億総活躍」とは、(戦前戦中の)「一億総動員」に通じる。何に向かうのか?まさに「富国強兵策」路線そのものである。安倍総理が昨年4月の訪米時(アメリカ議会でスピーチをした際の)、笹川財団米支部でやったスピーチ「アベノミクスは外交安全保障と表裏一体のものです」に裏付けられる。

 

 日本経済をデフレから脱却させて成長へと導き、それに伴って国防費を増やす。GDPを600兆円に成長させることを掲げたこととは、外交安全保障に不可欠であるとして防衛費の拡大にある。これを私たち国民は見逃してはならない。ここまで来ると、これは下心ではなく本音丸見えの上心”と言ってもよい。だから「ドアホノミックス」と呼びたい(会場拍手爆笑)。

 

 本講演のタイトルにある「荒れ野で叫ぶ声」とは、旧約聖書イザヤ書にある救世主が到来して預言する言葉。私(浜矩子氏)はクリスチャンであり、聖書を学ぶものからは聖ヨハネが荒れ野で警告を発する声と理解する。それは壁の外側から内側の人間たちに対して叫ぶ警告である。市川房枝はまさに荒れ野で声を発するものであった。

 

 今、安倍首相の掲げる富国強兵策に対して警告を発しなければならない。状況は、“強いアメリカを取り戻す”と声高なトランプ氏、“強いロシアを”と先導するプーチン氏に酷似しており、偽預言者として人々の関心を買っている。

 

 グローバルな世界とは、国それぞれの間で支え合う必要と相互依存により不安の解消というある種の厄介さがある。しかし、(国の強さを追及する背景の中で)独立独歩を求められる国民の不安さにつけ込むのがこのような偽預言者である。

 

 弱者は強い存在になびきやすい。追い詰められている市民である。トランプ氏の支持者にはアメリカの下層市民が多い。一方で民主党候補者バーニー・サンダース氏の支持者もトランプ氏支持者と同層の市民である。そして、安倍首相の支持率の高さにおいても共通するところがあり、そこに根の深さがある。

 

 彼らの共通性は幼児的凶暴性の持ち主である。他者の意見を聞かず、我慢出来ずに凶暴な言動を発する。実は日本には二人いて、もう一人は大阪にいる(会場大爆笑)。

 

 「荒れ野に叫ぶ者」とは、どんなに厳しいなかでも声高に信念を発する人でなければならない。何を叫ぶのか?四つの資格を備えている必要がある。

 

        ①疑問を発することが出来ること

        ②王様は裸と叫ぶこと 

        ③弱い者の立場に立てること 

        ④人のために泣くことが出来ること

 

 ①とは、「どんなバカでも質問に答えることはできる。重要なことは質問を発することだ(英国女性経済学者ジョーン・バロット・ロビンソン1903-1983)」にある。ニクソン大統領のウォータゲート事件も二人のジャーナリストが投げた疑問が発端となった。ただし、疑問(質問)の質が大切だ。答えの質は質問の質によって決まる。質の良い質問で問題を明るみに引っ張り出す。

 これが②に結びつき③で弱者を擁護し④弱者に寄り添うことだ。

「経済活動を営む人は人のために泣ける人でなければならない」とはアダム・スミス(英国1723-1790)の遺した言葉である。

 ロビンソンが毒舌家であったように、私も経済学者として常に荒れ野で叫ぶ声を発する者にならなければならない。

 

(降壇後も会場から大きく長い拍手!!)

 

講演後質疑応答(要約)

  Q1:今の若者に向けて言うことは?

  A1:怒り方を上手にしなさい。そのために歴史を知ることが大切だ。

 

  Q2:女性総理の出現見通しは?

  A2:そう遠くない状況ではないか

 

  Q3:慰安婦問題に対して、否定的な見方の女性がいることについて?

  A3:見方に男女の区別はない。壁の外側にいるか、内側にいるかの違いである。

 

  Q4:保守反動の女性について?

  A4:類は類を呼ぶということだろう。しかし、権力に立ったとき、本来の泣ける女性になれるかどうかは考えなくてはいけない。

 

  Q4:GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用損をどう思うか?

  A5:運用のやり方がとんでもないことだ。

 

 

2.シンポジウム

 各政党(無所属を含めて)を代表する女性政治家たちが壇上に姿を見せた。豪華な顔ぶれとなった。コーディネーターが提示したいくつかのテーマについてパネリストたちがそれぞれの立場で発言するという形式がとられた。これだけの論者が集められたのだが、ディスカッションになったら喧々諤々でまとまらないだろう。

 

 テーマは「女性議員としてのやりがい」「女性議員を増やすには」「これだけは言いたいこと」が与えられた。

 

 このシンポジウムのタイトル「女性は政治を変えられるか」に連動するテーマがクォータ制だ。女性議員比率が低迷している現状は、日本の政治風土や政治文化が戦後からあまり変わっていないのではなかという思いたくなる。保守政党や保守層にはクォータ制導入に対して消極的だと感じる。前進させるためには、クォータ制は通過点と考えても必要な制度と思える。超党派による運動もあるという。女性議員を増やすための一つの方法としてクォータ制が取り上げられている。これについて、パネリストの発言に注目したい。それらの要点を大竹の印象で報告する。

 

 

「女性は政治を変えられるか」

 

  パネリスト        

小池百合子 (衆院議員/自民党)                

辻元 清美 (衆院議員/民主党)

高木美智代 (衆院議員/公明党)

畑野 君枝 (衆院議員/共産党)

福島みずほ (参院議員/社民党)

糸数 慶子 (参院議員/無所属)

コーディネーター       堂本 暁子 (元参院議員)

 

堂本暁子氏

  • 国会でも地方議会でも女性議員が少ないことが問題だ。女性参加を促すクォータ制の導入について、パネリストの皆さんはいかがか。

小池百合子氏

  • 自民党が野党に転じたとき、女性の活躍する割合を2020年までに30%を達成しようという目標を掲げた。現状との乖離はあるが、クォータ制に依存することより、政治的リーダーのやる気次第で女性の政治参加が可能だ。違憲が指摘されている一票の格差是正を解消することが優先ではないか。

 

辻元清美氏

  • 地元である大阪島本町は男女同数の議員数である。地域から変える。地方からの方がやり易い。女性議員の多い国は、財政赤字が少ない傾向になることなど、女性議員を増やすことのメリットが大きい。 非正規雇用の7割が女性労働者だ。女性全体の問題として解決していくべきだ。

 

畑野君枝氏

  • 女性が政治に進出するためには、小選挙区制度の改革が不可欠だ。

 

福島みずほ氏

  • 政治はママたち、女性が政治を動かしている。女性の進出によって、政治的優先が変わる。そのためにクォータ制は不可欠だ。現在の小選挙区制の改革と併せて、比例制を拡大する。立候補し易くするために、供託金制度の改革もしなければならない。

 

糸数慶子氏

  • 女性が政治に参加することは、クリーンでしがらみのない政治活動を展開できる。クォータ制を市民運動から盛り上げて、若い人たちへの伝えていくことが大切だ。立候補し易くするために、供託金の改革も必要だ。

 

3.ラッキーショット

 閉会後、コーディネーター堂本暁子氏とパネリスト福島みずほ氏(大竹は大ファンである)が場外におられた。こんなチャンスは逃せない。

 そこでラッキーショット。お二人とも快く応じていただいたことに感謝!!

 

 市川房枝パネルを前に堂本氏右端

      福島みずほ氏を真ん中にして

 

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