戦争の過ちを二度と繰り返さないために
「九条の会さかい」発信 2021.10 No.55
喜四郎出陣式で感応する
多くの立候補者は自らの政治展望を披露したがるものである。一方で有権者はそのような期待は外れるものだとあきらめる。9年間の安倍菅政治は国民に諦観と無関心を植え付けた。
政治は結果責任を問われるものである。それ故、9年間の政治が国民にとって良かったのか悪かったのかを審判する。それが今度の選挙である。9月の当会報でもそれを呼び掛けた。
十月十九日朝、中村喜四郎は出陣式で集まった支援者に、まさにそれを語りかけた。民主的な政治が歪められたことをとくとくと語った。
コロナ対策ではPCR検査と水際対策の不手際さ。緊急事態措置と五輪パラ強行やGOTOトラベルのちぐはぐさ。アベノミクス成長絶対主義がもたらした過剰負債と富の偏在、その一方で貧困や格差の拡大。華々しい安倍外交の末路はプーチンに手玉に取られた北方領土交渉。解散権を弄んだアベノミクス解散、消費税上げない解散、国難突破解散。民主主義の根幹を揺るがす特定秘密保護法、集団安保法制、共謀罪法の国会強行採決。数の力を背景に国会軽視の言動。森加計桜疑惑の改ざん隠蔽虚偽答弁。
弱い野党にも一旦の責任ありと喜四郎は断じた。政治に失われた理性を取り戻すには「与野党伯仲」構図しかないとの確信が会場に響く。
なぜ野党に移ったのか!日本の役に立ちたい。苦境に立った時にも支援者がいてくれた。八方ふさがり選挙戦、7区に野党の旗を立てたい。権力に立ち向かう中村家の血がそれを押す。
政(まつりごと)正常化への願い
総選挙投票日が目前に迫る中、政治が正常な形で機能することを願わずにはいられない。健全で保守的な抑制を宿した政がこの9年間でことごとく軽視された。憲法に則った臨時国会が開かれず、我慢強い国会議論が尽くされず、改ざん隠蔽虚偽答弁で国会が空転した。
言論誌「月刊日本」十一月号。今期で政界を引退した大島理森氏のインタビュー記事が目に留まった。大島氏の衆議院議長在籍は五年半に及ぶ歴代最長と同時に、安倍菅政権とも対峙してきた。大島議長は森友問題などを厳しく批判する異例の所感を発表したことについて「あのときは議長として所感を出すことが妥当なのかどうか苦悩した。しかし、国会に改ざんされた資料が提示されるなど、決して許されることではない。そのようなことがまかり通れば、日本の民主主義が破壊されてしまうのではないかとの思いを持っていた。・・・(内閣や立法府の各党、各会派に)議会は民主主義の砦であることを忘れないでほしい」(要略)と語った。
憲法41条は国会を国権の最高機関として位置付ける。三権分立が機能不全に陥っている今、立候補者の認識を問われている。
選挙に行こう
衆院選の投票率の推移は、中選挙区制では70%代を維持していたが小選挙区制が敷かれた以後は60%代に落ち込んでしまった。民主党が政権に就いた時でさえ69%しかなかった。再び自公政権に戻り、8年間に及ぶ安倍政権の下での三度の選挙の間、52%にまで落ち込んだ。この間、投票所に行かなくなった有権者の数はざっと数えて1500万人前後に上る。その7割1000万票が安倍政治への批判や諦めがあるとの指摘がある。
低投票率になれば組織票を持つ自民党には有利に働く。政権政党は自らの支持層にのみ政治をすればよいという姿勢が露骨になる。
投票は民主主義を支える根幹であるが、それが崩れかけている危機感を私たちは持つべきだ。だから、選挙に行かなくなった有権者に、もう一度投票に足を運んで欲しいと呼びかけている。投票を棄権した政治批判票の10%約100万人が再び投票所に足を運べば政治は変わり始めると私たちは呼びかける。駅前で、人の集まるところで、「選挙に行こう」と。
弁えの無き政そぞろ寒 昌利
そぞろ寒危うき政治あきらめず我が一票を撃ち放ちたり 蒼果