戦争の過ちを二度と繰り返さないために

「九条の会さかい」発信 2021.3 No.48

2021年03月30日 22:11

「女に議員はムリですか?」

 当会の発起人の一人、内海和子さんが四期務めた町議員体験をつづった本を自費出版した。境町が昭和30年の町村合併以後44年間、女性町議の空席を埋めて初の女性議員になった。退任四年後の今、その沈黙を破り出版したこの本には、女性議員故に味わった怒りと口惜しさが境町への愛着をもってつづられている。

 内海議員が2004年当時、境町は岩井・猿島・境一市二町合併の是非を問い、町が大きく揺れた。さらに合併不参加に端を発する議員定数削減動議を受けて、年二回もの住民投票に町は賛成と反対に分断された。その火中の議員同士の駆け引きに翻弄され、議会質問へのパワハラ、宴席でのセクハラの口惜しさが滲み出ている。

 本の表題は内海さんが立候補を決意したときに、町の女性有力者から「女には無理よ」と釘を刺された言葉から出ている。内海さんは議員になる前から現在もこの町の男女共同参画条例の制定に奔走している。町は条例制定の推進委員会を立ち上げたが、女性委員長自ら制定に反対されて足踏み状態のままである。この本は女が自らの足を引張った見本を見せてくれる。その意味で内海さんの悲愴さが伝わってくるが、告発本ではない。男性本位で保守性の強いこの町において、本来の男女平等と町民を代表すべき議会の在り方を示す啓発本である。

 内海さんはこの町の将来に希望をつなぐ。当会としては次世代を担う女性たちとそれを支える女性たちを集い、書き尽くせぬ思いを語らせたかった。その機会を待ちたい。

 

 

  • 発行:梨の木舎 価格:1870円(税込み) 送料:無料

境町のマスゼン書店にも置いてあります。

 

 

 

 男女共同参画に向けて

 3月8日「国際女性DAY」は女性差別撤廃を謳う日だ。男女共同参画はそのための方法論である。意思決定する場すべての分野において男女比率を均等にすれば、格差や差別の多くは解消されるだろう。

 第五次男女共同参画基本計画では、25年度末までに政府と自治体に管理職登用比率の目標を求めた。身近には、地方選挙の女性候補者を16%→35%、市町村職員管理職は10%→14%、小中高校長は15%→20%へと女性枠を拡大する。均等には十分な水準ではないがこれが実現したならば評価に値する。

 内海さんが境町の条例制定に奔走するのもこのような男女比率格差の解消であると理解する。町議会でのクォータ制の導入で女性議席に一定枠を義務付けること。役場各部署内での女性管理職に一定比率を設けることである。

 残念ながら第五次計画は自民保守派の強い抵抗を受けて夫婦別姓が削除された。丸川珠代男女共同参画担当相、有村治子元女性活躍担当相、高市早苗元総務相、山谷えり子議員などが名を連ねる。ここにも女性自ら足を引張るケースが見られる。市井の女性たちの奮闘が必要だ。 

 

  飲食店の抵抗と民主主義

 飲食チェーン店「グローバルダイニング」は、東京都が出した時短命令は「憲法が保障した営業の自由」に違反するとして損害賠償請求を都に求めた。さらに、同社がSNSで時短要請に抵抗したことへの都の命令は「憲法が保障する表現の自由」に違反する主張する。社長は「適切な感染症対策をしている店舗まで含めた一律な営業制限の必要があるのか。コロナ禍であらわになった日本の民主主義の脆弱さを問いたい」(東京新聞3月23日)と訴えた。

 緊急事態宣言は3月21日に解除された。その直前の18日、都は改正コロナ特措法に基づく知事の措置を執るとして時短命令を突如発令した。この4日間にどれほど効果があるのか合理性が希薄だ。都の命令は見せしめであり、コロナ対策を盾に同社の営業や表現の自由を侵害したと訴えられても仕方あるまい。

 この訴訟で支援の客が増え、一般投資家による同社株価に買い注文が集まり高騰した。コロナ禍と行政の抑圧に抗った市民の意思と映る。
 

 

「 政 界 の 醜 聞 の ま た 凍 て 戻 る 」

 

サイト内検索

お問い合わせ先

9条の会さかい(事務局) 090-8729-3008