戦争の過ちを二度と繰り返さないために
「九条の会さかい」発信 2021.9 No.54
審判すべきは安倍・菅政治
自民党総裁の任期切れを迎えて、次の総裁を選ぶ選挙戦がテレビとネットを主に賑わしている。垂れ流し同様の報道には、後の総選挙の投票行動に偏った影響が出るのではと危惧し、これも自民党の総選挙戦略かと疑いたくなる。
八月末の菅内閣支持率は30%を割り込んだ。自民党議員の間ではこれに不安が急速に広まったようだ。後手後手のコロナ対策が行き詰まり、菅首相は政権の座を降りる決意をした。前の安倍首相と同様に政権を放り出したのだ。後継の総裁候補者四人についてはマスコミに任せる。新総裁を擁して迎える総選挙に自公与党議員は安堵したいのだろう。
しかし、私たちが選挙するのは新総裁の自民党ではなく、これまで続いた安倍・菅政治である。この二つの政権は民主主義を壊し、社会的な格差を広げ、森加計桜他数多の疑惑と不正にまみれ、コロナ禍で医療を崩壊させ、その果てに棄民した。国民に説明しない政治、寄り添わない政治を常態化させた。有権者が審判するのはその安倍・菅政治の九年間の所行である。
野党と市民連合の共闘
9月8日、「衆議院総選挙における野党共通政策の提言」―命を守るために政治の転換を―を立憲民主党、共産党、社民党、れいわ新選組四党合同で次の政策を発表した。
1.憲法に基づく政治の回復
2.科学的知見に基づく新型コロナウィルス対策の強化
3.格差と貧困を是正する
4.地球環境を守るエネルギー転換と地域分散型経済システムへの移行
5.ジェンダー視点に基づいた自由で公平な社会の実現
6.権力の私物化を許さず、公平で透明な行政を実現する
『新型コロナウィルスの感染の急拡大の中で、自公政権の統治能力の喪失は明らかとなっている。政策の破綻は、安倍、菅政権の9年間で情報を隠蔽し、理性的な対話を拒絶してきたことの帰結である。この秋に行われる衆議院選挙で野党協力を広げ、自公政権を倒し、新しい政治を実現することは、日本の世の中に道理と正義を回復するとともに、市民の命を守るために不可欠である。市民連合は、野党各党に次の政策を共有して戦い、下記の政策を実行する政権の実現をめざすことを求める。』
ここではその要旨を掲載して、詳細を別添しました。なお、市民連合とは「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」を指し、私たちのような平和憲法と民主主義を尊重する市民活動を包摂する団体です。当会報読者の皆さんにご支援をお願い致します。
責任転嫁の醜態
アフガニスタンからの邦人救出に「失敗」したことに対して、自民党内から「自衛隊法」の改正を求める声が上がり始めた。北朝鮮の巡航ミサイル技術の向上によって射程範囲内に日本が入ったとして、日本も「敵地攻撃能力」を保有せよと再び危機感を扇り始めた。そして、未だにコロナ感染拡大が食い止められないことにも、憲法への「緊急事態条項」新設が必要だとする声が止まない。自民党総裁選では党内のこうした欲求に取り入ろうとして、改憲や法改正に言及する候補者が得票を伸ばしそうだ。
しかし、アフガン救出の失敗は情勢分析の甘さと初動の遅れが指摘されている。北朝鮮に対しては、対話の糸口さえ見つけられていない外交努力と能力の欠如である。敵地攻撃能力などハリネズミの如き防衛国家と国民に平和はない。コロナ対策では野党が要求した臨時国会の召集を拒否して来た。失政を棚上げにする無責任な政府と自公与党に改憲論議などする資格はない。自らの失策を憲法と法律に責任転嫁する醜態をさらけ出しているように映る。
墓参りかすれし墓碑の兵と読め 昌利