戦争の過ちを二度と繰り返さないために
「学ぼう! 日本国憲法と平和」 ( 戦争法は、これからどんな状況をもたらすか! )
田村武夫先生(茨城大学名誉教授)の講演を聞いて
「9条の会さかい」事務局 大竹勉
上記講演会は、9月27日に、「戦争法制に反対する県西地域実行委員会」が主催により、古河市ユーセンターで行われました。たいへん遺憾ながら、17日に参院で安保法案が採択されてしまいましたが、立憲主義、民主主義と国民主権を壊した安倍政権および与党への国民の批判が強くなっております。そのような状況下でのこの講演は時宜を得た内容でした。
「9条の会さかい」会員の方々には講演レジメを配布してありますが、講演を聴いた大竹なりの印象に残ったところを要約して紹介させていただきます。
**** 田村先生講演から ****
安全保障関連法案いわゆる「戦争法案」の参院での審議は、法制化の必要性ばかりが強調された結果、法律の内容に踏み込まなかった審議であった。その必要性とは、中国の海洋進出や北朝鮮の核や弾道ミサイルによる威嚇に対応する法制化である。
このような外国からの脅威論は、戦争に国民を導くために、時の政権が使う常套手段である。その代表例がナチスドイツ時代に、ヒトラーの片腕であったヘルマン・ゲーリングが用いた論法で、「戦争するのは簡単だ。国民に国が危ない、武力侵略されるぞ。平和主義者は国を危険にする者たちだ。外国に利する行為だ。」といって、ドイツ国民を侵略戦争に引っ張って行った歴史的事実がある。これと同様に中国、北朝鮮脅威論で国民を煽っている。
この戦争法制は集団的自衛権行使を可能するものであり、場合によっては地球の裏側まで出かけて行って、同盟国軍を警護したり、武器を用いて戦うことが出来るようにするものと捉えられている。しかし、現実的には国連平和維持活動PKOにおける自衛隊の活動範囲をこれまでより拡大させることが目的の法制である。
現在、自衛隊は南スーダンでのPKO任務としてインフラ整備建設を行っている。しかし、戦争法制が成立した今後、政府はPKO協力法改訂作業と実施計画書作成を急いでいる。来年5月にはそれらが国会で審議されることになろう。今回と同様に政権与党が数の力で強行すれば、やがては自衛隊が新たに派遣されることになるだろう。
現在454名のPKO派遣自衛隊員が今後どれほどに増員されるかに注意すべきである。その内容は、外国の軍隊を警護するいわゆる「駆けつけ警護」や「治安維持活動」が大きな比重を占めて来るだろう。
2003年のイラク戦争において、米軍とその同盟軍では全体で死者4491人、負傷者3万2000人であったが、その後の「治安維持」過程での死者負傷者の方が圧倒的に多い。現在、自衛隊員は志願兵であるが、今後は退職者の増大が進めば「徴兵制」さえ、その時の政権思惑次第では現実味を帯びて来る懸念がある。
来年夏の参院選で野党が過半数を確保できれば「自衛隊の派遣、活動計画」は承認されなくなる。この戦争法を執行停止に追い込むことが出来る。