戦争の過ちを二度と繰り返さないために

「9条の会さかい」発信 2021.1 No.46

2021年01月27日 21:58

感染防止に罰則はなじまない

 今国会に政府が提出したコロナ関連法改正案は、営業時短命令と違反者の罰則と店名公表、感染者には入院強制と拒否や逃亡に刑事罰が盛り込まれた。私権の制限である。

 一月に入ってから各県に緊急事態宣言が発令された。飲食店は午後八時~午前五時まで自粛となった。その要請に追い打ちをかけて西村経再担当相はランチ利用にまで注文を付けた。ファミレス大手社長が「ふざけんなよ」と怒りの発言に賛同の輪が広がったくらいだ。厚労省はクラスター発生の多くが飲食店としている。フードジャーナリストは、飲食店の多くが感染防止で営業しており、そこでのクラスター発生は聞かないと訴える。むしろ客側の配慮の希薄さを指摘する。政府は飲食店への過度な要請よりは客のマナー向上策をとるべきではないか。

 感染者が入院拒否する事例は聞かないとする記事を見る。あるとすれば周囲からの差別を怖れるあまりのやむを得ない行動だろう。そこに防止法違反の罰則を科すとなれば差別を助長する。法の強制力を笠に着た「自粛警察」が跋扈する不健全社会になりかねない。思いやりが必要な時だ。感染防止に罰則はなじまない。

 

   見過ごせないSNSトランプ追放

 トランプ大統領がSNSプラットフォーマー各社から追放された。トランプの声は完全に遮断された。これまでのSNS上でのトランプの数多の誹謗中傷とフェイク発信、果ては米議会襲撃を扇動したとされる過激な行為には危険人物を疑わせる感が強い。だから追放されても当然だと安易に受け止めていた。

 しかし、これにすかさず批判したのがメルケル首相、ロシア反プーチン活動家ナバリヌイ氏であることに当惑した。「言論の自由」が一企業の恣意的な決定によって奪われることへの批判を展開したのだ。これを認めれば『トランプ氏でさえブロックされた』を悪用した言論封じがまかり通ることになると危惧する。もちろん彼らはトランプ言動そのものを容認しての批判ではないだろう。

 言論の場の広さに限らず、その機会が与えらてこそ人は主張できる。哲学者ボルテールが既に十八世紀に言論容認の絶対性を叫んでいる。イスラム風刺画によるシャルリエブド襲撃事件や「あいちトリエンナーレ・表現の不自由展」攻撃も同根である。小さく狭いながらも発信する我々の活動もその平面上にある。言論空間からの追放は見過ごせない事件である。

 

  原発依存と核ゴミの病

 原発事故からもうすぐ十年。故郷を追われ、未だに戻れていない人たちが県内外に3万7千人余り。この人数が被害の悲惨さを語っている。しかし、国はこの現況に介すこともなく、脱炭素社会を目指す「エネルギー基本計画の見直しについて2020.10.13」では、今後も原発を最大限(現状6%→22%増)活用する姿勢を示す。

 読めば住民帰還の現状について、避難指示が解除された田村町や川内村居住者を取り上げて八割に上るとの復興ぶりを強調するが、浪江や富岡の一~二割の現状を記載せず粉飾する。

 廃炉に向けた作業は着実かつ汚染水は凍土壁で遮断大幅削減とある。でも汚染水の貯蔵限界がひっ迫して海洋放出方針を打ち出したことで、地元と全国漁協から猛反発を受けている現況を重く受け止めた形跡は見られない。

 さらなる問題は原発排出ゴミである。「廃棄に際して、周辺環境への影響も可能な限り低減する必要」と書く他人事。核燃料サイクルは「もんじゅ」廃炉、六ケ所村の再処理工場はトラブル続きで稼働見通せずシステム全体が破綻。核ゴミだけが増え続けている。関電美浜3号機と高浜1、2号機は、再稼働条件である核ゴミ処分の受入れ先が見つからず稼働出来ずにある。

 国は原発依存高めながらも不都合な真実に目をつむる。もはや病である


 



 

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