戦争の過ちを二度と繰り返さないために
「9条の会さかい」発信 2024.5 NO.85
望月衣塑子記者講演から
憲法記念日、憲法フェスが水戸市仙波公園で開かれた。招待講演者は東京新聞の望月衣塑子記者、彼女は安倍政権当時から政界に厳しい目を向けた報道を続けている。当時の菅義偉官房長官には記者会見で食い下がり、菅氏の天敵とまで評された異色の存在だ。話題は多岐にわたったが、私なりの解釈で講演の一部を紹介する。
社会部記者として多忙な取材に追われていた望月記者は、子供を授かったことを契機に子育てと取材を両立させる道を選んだと言う。そのような2014年当時、歴代政府が容認して来なかった集団安保法制を安倍政権は解釈改憲によって閣議決定した。それ以後、日本は戦争できる国造りへと邁進して現在に至っている。望月記者は従来政府が踏襲して来た路線を覆す安倍政治の異質さに照準を合わせ始めた。
閣議決定によって武器輸出原則を緩和し、日本製弾薬がライセンス元の英国を経由してウクライナに供給されることになった。「防衛力を考える有識者会議」には読売・産経・朝日大手メディア幹部が名を連ねて、パワーバランスが崩れている日本周辺の軍事情勢に対応するための敵基地攻撃能力の保有、ミサイル防衛の強化など軍拡の後押しをしている。日米豪比による中国包囲網のシーレーン軍事同盟は、台湾有事を火元とする戦争リスクを高めている。とりわけ、オフショアコントロールは米国の重要戦略であり、沖縄南西諸島の防衛力強化が進められている。それはこの地域の人たちを再び戦争の最前線に立せることになる。有事にひとたび米軍の戦闘機が在日米軍基地から飛び立てば、もはや日本は戦火の中との警鐘を鳴らす。
岸田政権は支持率が低迷しており、次期選挙では自公過半数割れ回避のために維新を抱き込む目論見に触れて、有権者への関心を促した。
余談だが、講演後に望月記者の著書販売があった。彼女のサインを求めて聴衆が列をなした中に私も並んでしまった(^^) (^^) (^^) (^^)/
九条美術展にて
九条美術展(東京都美術館)の案内を当会報読者でもある画家の光山茂先生にいただき、5月6日に上野まで足を運んだ。主催は九条美術の会(憲法九条を守り生かすという一点で結集した美術家たちが2004年に設立)。今回は全国から154名の美術家たちの作品が展示され、光山先生と奥様久子さんの作品も目に留まった。憲法問題に捉われない自由な創作物群は、平和へのゆるぎない希求のようだ。
その中で強烈なメッセージを放つ作品が心に刺さった。鉄を素材とした立体、武田美通作「残された数秒の母子のいのち」/わが子を抱く母親の手には、栓を抜いた手りゅう弾が握られている と書かれてあった。沖縄の密林の中で起こった惨状への連想を促された。過酷な緊迫感に突き刺されたような痛みが今も癒えない。
「百里憲法9条の碑」建立成る
会報1月号№81で取り上げた「百里に9条の碑を」は、2月11日に建立除幕式を迎えた。賛同者918人と賛同団体124からの寄付で建立されたと実行委員会から報告が届いた。当会もその一つである。表碑文には憲法前分と9条が刻み込まれた。裏面は「自衛隊は憲法違反 百里農民の信念を引き継ぐ」とある。70年代当時、国に土地を売り渡すことを拒んだ地主たちと、全国の支援者たちによる一坪地主運動によって平和公園が造られた。滑走路に沿った誘導路は、平和公園が食い込んで「く」の字に曲げられている。自衛隊は陸海空の戦力に当たり、平和的生存権を脅かし、憲法違反であるとの百里農民の信念を引き継ぐことを表明している。それが私たちにも投げかけられている。
https://hyakuri.sakura.ne.jp/9jounohi202310.html
介護士の白衣眩しき聖五月 昌利
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