戦争の過ちを二度と繰り返さないために

「9条の会さかい」発信 2019.12 No.33

2020年01月03日 12:50

続・中村喜四郎「決起」考

 当会報昨年8月号(「9条の会さかい」発信 2018.8 N0.17)で文芸春秋記事の「決起」を取り上げた。それから一年余りの11月10日、「しんぶん赤旗・日曜版」大見出しで「野党共闘を強く」のインタビュ―記事が第1面と第4面のスペ―スを割いて掲載された。さらに、12月27日東京新聞インタビュ―でも政策の違いを越えた野党連携を呼びかけた。12月15日には「無敗の男 中村喜四郎全告白」(文芸春秋)が出版され、境町の書店の書棚を飾っている。

 記事は反安倍政権を標榜し、打倒安倍一強に挑む野党結束のキ―マンを自認する。告白本では名前も人生も世襲政治家となった生い立ち、ゼネコン汚職容疑者の検察闘争、14選無敗を支えた選挙への執念の告白記(常井健一著)である。

 なぜ「決起」かは会報№17を再読されたい。中村氏は安倍政権と自公与党に強い危機感を持つ。集団安保法制と共謀罪法に反意を示した点では、我々の思いと遠くはない。現在、立憲民主党など野党新会派に属し、全国の地方選挙には野党結束を呼びかけ、独自の選挙スタイルを駆使して与党切り崩しに奔走しているようだ。

 中村氏は野党結集には共産党が欠かせないと東京新聞記事と告白本で訴えている。全く異質な自公連立政権のように、政策の違いを越えた野党の成長を促し、野党同士のけんかは滑稽と冷笑する。保守政治家としての現実主義と柔軟性だろう。氏の政治的舵きりに、地元支援者にはどのように映っているのか。保守風土の濃い地元には盤石な後援会があるが、自民党から無所属になると距離を置く男性支援者も出るなかで、女性の視点は「党より人」と期待を示す。
中村氏は共産党への接近も始めた。告白本には「孤高の固定票を自力だけで維持している珍しい政治勢力」と共産党の集票力を評価する。

 今後の衆院選茨城7区は野党市民結集に期待するが、氏の深読み通りになるかは不透明だ。氏がその選択肢になり得るか言動を見極めよう。

 

 

中村哲医師からの警鐘

 『主はわが牧者なり、われ乏しきことあらじ。主はわれをみどりの野にふさせ、憩いの汀に伴いたもう。たといわれ死の陰の谷をあゆむとも、禍を恐れじ。汝われと共にいませばなり。かならず恵と哀れみとわれにそいきたらん』(詩編第二十三篇より抜粋)

 今、東京新聞2013年9月24日付「アフガンの地で 中村哲医師からの報告」を読み返すなかからこのダビデの詩を見つけて、クリスチャンでもある中村医師がこの詩に寄り添って生きたように思えて涙せずにはいられなかった。

 中村哲医師は12月4日、アフガニスタンのジャララバ―ドで灌漑工事現場に車で向かう途中に銃撃を受けて死亡した。

 

 2014年2月9日付同紙インタビュ―では、戦火と大干ばつで国中が荒廃したアフガニスタンでのNGO灌漑事業により、緑豊かな集落再生と十万人の帰郷が実現、さらなる事業拡大への思いを語った。援助国は学校を造れと言うが、「教育や男女平等はもちろん大事ですが、今この国に必要なのは『パンと水』なんです」と。

 安倍首相の言う積極的平和主義を中村医師は「積極的平和主義というのは言葉だけで、平和の反対だと思う。敗戦前のことを考えればこれは危険な動きですよ。『あの時代によく似ている』と年寄は言うんです。当時は指導者が勇ましいこと、景気のいいことを言うと受けました。その流れに突き動かされて破局を迎えた歴史をもう一度考えた方がいい」。米国へのご機嫌とり中東外交が日本のイメ―ジを傷つけ、親日感情を悪化させると警鐘を鳴らした。 

 2008年参議院外交防衛委員会の参考人招致で「治安問題というのは、基本的に警察の問題であって、軍隊の問題ではない。陸上自衛隊の派遣は有害無益、百害あって一利なしというのが私たちの意見である」と主張した(中村哲・澤地久枝対談「アフガンとの約束」(岩波書店)。

 

サイト内検索

お問い合わせ先

9条の会さかい(事務局) 090-8729-3008