戦争の過ちを二度と繰り返さないために

「9条の会さかい」発信 2019.5 No.26

2019年05月09日 23:07

憲法フェスティバル参加報告

 5月3日憲法フェスティバル・水戸は、今年もさかい・ごか・古河9条の会合同バスツア―となり、過去最多の23名になった。さかいから参加した11名の方々には感謝したい。快適な五月晴れのツア―と大会が幸運だった。

県内各地の9条の会活動報告会に参加した。「3000万署名」活動は停滞気味(現在1700万筆程度)だが、地道に続けることが大切だ。

 主催者の田村武夫先生(茨城大名誉教授)は、自民単独では改憲発議に必要な2/3を確保できない中で、公明が距離を保っている現状に、安倍主導改憲の実現性が遠のいていると考えを示す。安倍首相がレ―ムダックになりつつあるとみている。

 それを確実にするには、市民と野党共闘による連帯を組んで夏の参院選に臨まなければならない。世論は9条改憲の賛否については、いくぶん反対が優勢である。しかし、安倍政権下での改憲の是非については、6∼7割が反対している。その背景に3000万署名活動などを含めた様々な市民活動があって、一定のブレ―キをかけているからだ。改憲阻止まで活動を緩めず、夏の参院選の下支えとしたい。

 

 

愛国心の引き金

 憲法フェスのゲストスピ―カ―、リラン・バクレ―監督。ドキュメント映画「ザ・思いやり」パ―ト1・2」は全国上映中、現在パ―ト3を企画中である。5年前、ニュ―ヨ―クタイムスのネット版でアフガン戦争時に、米軍機の銃弾で子供二人が殺される動画を観た。それを契機にバクレ―氏は在日米軍に対しても疑念を持つようになり、駐留にまつわる軍事や環境、社会問題等を調べ始めた。日本政府は在日米軍の駐留経費を肩代わりするために多額の税金「思いやり予算」として注ぎ込んでいる。それをドキュメント映画として制作した。

 1898年、アメリカの兵士266人がスペインによって殺されたとする事件がキュ―バで起こった。この犠牲を契機に米国世論はスペイン報復に傾いた。その時、大統領マッキンリ―は参戦に消極的だったが世論に抗しきれなかった。半年続いたこの戦争はアメリカが勝利したことで、世界のあちこちにあったスペイン領地を奪い取った。それ以後、アメリカは覇権国家の色彩を強めながら現在まで世界各国で戦争を継続している。その引き金が戦死者に触発された愛国心だとバクレ―監督は糾弾する。

 新安保法制の施行によって、日本は偶発的な交戦の危険性を抱え込むことになった。同盟国軍の戦闘に巻き込まれた自衛隊員に犠牲者が出たら、世論は報復に傾くだろうとバクレ―監督は話す。犠牲が愛国心を醸成し、戦争反対の声を封じ込めると懸念する。「戦争ができない国」であるためには、声を上げつづけることだと。監督は横須賀の米軍に向かって  Go back to who mother loves you !  と呼びかけた。すると一人の兵士が話を聴いてくれた。その兵士が帰国したら平和活動してくれるだろうと屈託のない視線を私たちに投げる。

 

 平和を堅持しようとするには、こんな楽天家であることも大切だ。監督から鼓舞された。

 

 忘却の上塗りか

戦争死三百余万の血と涙かえりみられず平成という   潮 虎平 

 憲法フェス会場の短歌コ―ナ―をのぞいた。「新日本歌人2019.3」月刊歌集にあるこの歌が目に留まった。この歌を評者は「間もなく繰り広げられる新元号祝賀が、昭和の戦争時代同様に、平成の悪政の一切を押し流して清算する狙いを予見させている」として、改元で浮かれる今の世相を言い当てた。

 この歌は、戦禍の昭和を改元によって糊塗したことを指弾している。そして今、その昭和と併せて、格差隠ぺい忖度虚言の平成をも上塗りしようとしていることを鋭く射貫いている。明治憲法の遺物であり、皇室の儀式に過ぎない改元は、時の政権の政具とされてしまったようだ。誰がそうさせたかって? それも忘却しているようだ。
 

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