戦争の過ちを二度と繰り返さないために
「9条の会さかい」発信 2019.7 No.28
「この国の民主主義は形だけでいい」のか?
映画「新聞記者」(東京新聞社望月衣塑子原案)を観終わっても、内閣情報調査室(いわゆる「内調」)の参事官が吐いたこの言葉が胸に刺さったままだ。安倍政権下で起きた加計学園疑惑を背景にして、フィクションの立ち位置を最大に活用した告発映画だ。
時の政権を陰で強力に支える内調。そこで働く一人の官僚は、敬愛する先輩官僚が自殺に追い込まれたことに疑念を抱く。一新聞社に、医療系大学新設の極秘資料がリ―クされた。自殺した官僚が公僕として残っている良心の呵責からそれを実行したものだった。文科省を飛び越えて、総理官邸が強引に進めるこの計画の背後には、看過し難い極秘事項が隠されていた。
リ―ク情報を受け取った一人の新聞記者がこれを追う。スク―プ記事にするには、確実な裏付けが必要だ。疑念を持つ内調官僚は、接近してきた新聞記者から「このままでいいんですか?」と迫られ、極秘資料の盗撮を決行した。官邸からのもみ消しには、自ら証言すると約束した。極秘情報がトップニュ―スで流された。
この映画は「使命感」を私たちに問うている。この官僚には守るべき家庭、約束された将来がある。それらを犠牲にしてもと苦悩する。新聞記者にも、政権の情報操作に負けたら誤報責任を問われて記者生命を落とす。それでも「公権力の監視役」として記者使命を果たそうとするのか。「この国の民主主義は形だけでいい」に抵抗するために。同様に、映画に出演した俳優たちの勇気にも敬意を表したい。
護憲か改憲か選択選挙
参議院選挙は、衆院選のように多数議席を制した政党が政権を握る政権選択選挙ではない。政党の政策を選択する選挙である。今参院選は安倍自民総裁が最優先する改憲選択選挙だ。
安倍首相は来年の改憲施行に執着している。今年四月、自民党の萩生田幹事長代行は改憲論議について「これまで丁寧に進めてきたが、令和になって、自民党は少しワイルドに進める」と、安倍首相の心中を代弁している。
現状でも自公維新が改憲発議できる衆参三分の二を確保しているが、野党の抵抗に阻まれている。しかし、今度の参院選で改憲勢力が現状維持以上の議席獲得になれば、国民の支持を得たとばかりに強行することは容易に想定される。
そうさせないためには、改選議席124に対して、護憲野党が選挙区比例区合わせて39議席以上を取れるか。そのために、市民も何をするか正念場に立たされている。
民主主義を機能させるために
英国のエコノミスト・インテリジェンス・ユニットは、日本の民主主義を世界23位とランク付けた。ちなみに、韓国20 位、米国21位。だからよいではない。20位以下は、その国の民主主義に欠陥ありの評価になる。特に日本では国民の政治参加への評価が低い。
その特徴が投票率の低下にも現れている。小選挙区制の下、死票の多さが有権者の無関心さを助長させている。低得票率下の一強政権の存続が民主主義の機能不全を維持させている。
「ねじれる国会」「強引に決めない政治」「論議をつくす政党」、民主主義の懐の深さをもう一度取り戻そうではないか。それも私たちの一票でしか成し得ないからだ。
護憲野党への支援を!
茨城県市民連合が示した9項目の政策提案を護憲野党が全面的に賛同するとなりました。それを受けて、市民連合は護憲野党の参院選挙区候補者を当選させる活動を行うことになりました。茨城県西市民連合もこれに同調します。
「9条の会さかい」でも県西市民連合に加入している方々がおられます。私たちは平和憲法を護る立場から、全会員の皆様方にもこの選挙では護憲野党の候補者と政党へのご支援をいただけますようお願い申し上げます。