戦争の過ちを二度と繰り返さないために
「9条の会さかい」発信 2019.9 No.30
議会に赤ちゃんがいる権利
BBCNews8/22。 ニュ―ジ―ランド議会で国会議員が赤ちゃんを連れて登院した。その議員が登壇中に、議長が議長席でその赤ちゃんを抱っこして、哺乳瓶でミルクを飲ませながら審議の采配を振るった。議長の笑顔がユ―モアと人間愛に満ちている。一方、赤ちゃんの親の男性議員は、「議会全体の同僚たちに本当に支えられている気がした」と感謝を示す。
昨年9月には同国首相が生後3カ月の娘を同伴して国連総会で演説した。イギリスでは自由民主党代表が2018年に赤ちゃん同伴で審議に出席して話題になった。オ―ストラリアでも2017年に緑の党の上院議員が議席で赤ちゃんに授乳して注目された。このように、近年では議員たちが赤ちゃん同伴で議会審議に加わることが始まっていると報じられている。
このニュ―スで思い起こすのは、熊本市会議員緒方夕佳氏だ。氏は赤ちゃん同伴で議場に入ったり、質疑中にのどあめを口にして懲罰を受けて議論を呼んだ。当会報(2018.10No19)は熊本市議会の不寛容さを批判した。緒方議員は今年春の統一地方選で再選を果している。子育てと仕事の両立を抱える女性が直面する問題を訴えて市民の支持を得たのだ。
赤ちゃんにも一人の人間として快適のうちに生きる権利がある。親と一緒はそれを満たす条件であるからだ。議会であるなしに関わらない。民主主義の根っこがここにある。それをさりげなくやって見せるステ―ツマンシップが心憎い。
Point of No return の前に引き返せ
徴用工訴訟をきっかけに日韓関係の悪化が外交問題から国民感情に波及し、両国間の回帰不能な危機を迎えている。
週刊ポストの差別的韓国特集記事に見られるように、反韓的言論人を重用したテレビや雑誌メディアに国民感情が支配されつつある。大衆的メディアが国民の憎悪を煽るのは危険だ。
五月に北方領土を戦争で取り戻す発言で議員辞職勧告決議を下された丸山穂高議員。N国党に転がり込むや今度も竹島の武力奪還を発言。しかし、メディアの反応は鈍かった。東京新聞(9/7)社説は見過ごせぬ憲法違反発言と訴えて、N国党の責任放棄を批難した。
盧溝橋事件(1937)当時「日本は何も悪くないのに中国が反省しないから懲らしめてやれ」という機運の高まりの末に日中戦争へ。現状はそれに似ると危惧する識者の指摘が不安を誘う。
八月末、この事態に危機感を持った市民団体が嫌韓報道のファクトチェックに乗り出した。「安倍政権は国民の嫌韓意識をあおり、メディアも政権に忖度した報道を垂れ流している。私たちは『反日・反韓』に染まらず『反安倍』で団結しよう」と市民の連帯を訴えた。
私たち国民の知性とか理性によって情報を選択し、憎悪を抑制し、感情を正常に引き戻すことが求められている。
改憲フェチ内閣発足
フェチ(フェティシズム)とは、何(物)かに異常に愛着を持つことを指す言葉だ。この十一日発足した第4次安倍内閣だが、安倍首相は改憲について「困難な状況だが、必ずや成し遂げる決意だ」と語った。
七月参院選では改憲勢力が三分の二を割り込み、有権者は改憲には反意を示した。八月世論調査でも改憲反対が52.2%で賛成35.5%を大きく上回った。
主権者国民が望まない改憲だから「困難な状況」であることを首相自ら認めている。それを語る首相の姿勢は倒錯した改憲フェチに陥っている。改憲は内閣主導でやるべき課題ではないと自民内部や与党公明からもけん制が上がる。
国民から見れば、今まさに安倍さんは「改憲フェチの裸の王様」に映っている。