戦争の過ちを二度と繰り返さないために

「9条の会さかい」発信 2021.2 No.47

2021年02月26日 12:08

  マイナンバーひも付き情報の危うさ

 マイナンバー情報管理の危うさが長妻昭衆議員(立民)の国会質疑(2月17日)で明らかにされた。2017年末に年金機構法令違反通報窓口に中国のネット上に個人情報と一緒にマイナンバーが大量に流出しているとの匿名メールが届いたという。年金機構はこのデータの実在は認めたもののマイナンバーの流出実態は認めなかった。年金機構は個人情報入力を民間委託しているが、さらなる下請けには制約を課しているという。このケースではそれに反して中国の業者に下請けさせていた。

 同様の事例記事を読む。埼玉県内6市から入力受託した企業が無断で7社に下請けさせていた。16~17年度分のマイナンバーを含むデータが46万に上るという。東京都台東区と墨田区でも15~17年度分のマイナンバー17万件を含む個人情報44万件が無断で下請け会社に流されていたとある。

 政府はマイナンバーカードの普及にやっきだ。三月からは健保証代わりに、5年後までに運転免許省証と一体化を進めようとしている。マイナンバーカードには納税額や免許データから病歴といった個人情報がひも付けられることになるから、個人データベースが簡単に作られてしまう。そんな情報が杜撰な管理下で流出される。だが本質的な問題は、時の権力の下で個人が丸裸にされてしまうことである。いかなる意図で利用されるのか、利便性で誘導しようとする裏側に隠れた別次元の恐怖を覚える。

 

 

  子どもたちの苦悩

 「子どもの自殺最多479人」東京新聞2月16日の記事は衝撃だ。新型コロナウィルス流行による一斉休校など2020年の小中校生自殺は、1980年以降最多となり、前年比140人増加した。特に八月は二倍超(前年同月比)64人と最悪になった。進路不安、学業不振、親子関係不和などが原因の上位を占める。

 安倍前首相の独断で昨年二月に始まった全国一斉休校は、子どもたちの生活環境を大きく変えてしまった。子どもたちにとって年度変わりの時期は新しい先生や同級生と関係をつくる大切な時期だが、休校に追い込まれて子どもの不安は例年以上に強くなった。再開後には詰め込み授業でケアする余裕も生まれなかったのではと教育評論家の尾木直樹氏は憂う。

 記事の同日、朗読ボランティアで憲法を習い始めた6年生に「マララとイクバル」(ジャネット・ウィンター著)を読んだ。自ら命の危険を冒して教育を受ける権利と児童労働からの解放を叫んだ二人の子どもの実話だ。

 一斉休校は子どもたちの権利を奪ったに等しいがそれを口には出せなかった。けれども、負けないで欲しいと思いを込めて読んだ。

 

 

 さらなる「発信」に向けて

 会報2020年12月号№45の紙面にて、当会の活動費用を得るための寄付をお願いしました。多くの会員と賛同者の方々からご協力をいただいて二年分の活動費が集まりました。会を代表して事務局から感謝を申し上げます。

 当会報も来月3月号で満4年(48号)になります。これまで、その時の社会や政治の状況を憲法や民主主義を守ることにつながる視点で発信してきたつもりです。これからもコロナ禍の中で見過ごしてはいけない視点を探して発信します。読者の方々と共に当会の活動を継続していけることを願っております。

 今会報から当会発起人の一人である石川昌利さんに俳句を寄せていただくことになりました。石川さんの句は茨城新聞「茨城文芸」にて2016年前期賞受賞、毎日新聞「毎日俳壇」(2020年11月2日)にて特選、直近では今年1月水戸八幡宮水戸人形組合主催茨城新聞社後援等から表彰されております。俳句を通してその時折の世相に向ける石川さんの感性が読者の思考の刺激になることを期待します

 

 

 

 村の結ひまだ残りたる野焼きかな  石川昌利

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