戦争の過ちを二度と繰り返さないために

「9条の会さかい」発信 2022.7 No.64

2022年07月31日 08:43

核廃絶の平和行進

 七月七日の平和行進に当会からは6名が参加しました。「境道の駅」スタンディンはドライバーや買い物客に手を振って核廃絶をアピールしました。中央公民館にて境町の副町長や町議会、教育委員会の方々から出迎えをいただきました。当会を代表して、藤嶋みずえさんがウクライナ国民の戦争被害に心を寄せた挨拶をしました。参加者の皆さま有難うございました。 

 

 安倍国葬の空気を変えよう!

 安倍元首相の国葬を政府は閣議決定した。それに対する言論界や識者から異論が噴出している。野党や市民団体からも批判の声が上がっている。当会は安倍氏の国葬に反対する。

 参院選挙中に起こったこの事件に哀悼票が加わって低迷する投票率を押し上げ、自民票の増加につながったと見ることもできる。安倍氏の葬儀には陸上自衛隊の儀仗兵多数が参列して棺を見送った。私的な葬儀であるからこそ違和感を覚える。安倍氏は9条改憲を悲願とした人物であった。参院選の後で岸田首相は安倍元首相の意思を継ぐとの表明が奇異に聞こえた。改憲の目的が安倍氏の悲願達成であるかのような言動にとれる。それ故に、9条改憲の流れと国葬が一体感を持つことを危惧する。

この空気を変えねばならない。安倍氏故人の尊厳と国葬に異論を唱えることとは別問題である。それが冷静な判断である。安倍国葬に反対や異論があることを私たち一人ひとりが口に出すことだ。反対や異論を唱え難い空気が蔓延すれば、この国の行方は危ういことになる。
 

 

参院選の結果と改憲

 七月参院選の結果、改憲勢力の議席数が広がった。これで衆参ともに改憲発議が可能な議席数になることが確実になった。今後三年間は衆院解散がない限り選挙が行われることはない。

 岸田首相はこれを見越して、安倍元首相の改憲意思を継承することを表明したのだろう。岸田氏の首相在任中に改憲発議と国民投票が実行されることになろう。

 一方、改憲案を公表しているのは自民党である。①憲法9条に自衛隊を明記する ②緊急事態条項の新設 ③参議院合区の解消 ④教育の充実。日本維新の会も9条に自衛隊を書き込む考えを示している。他の改憲政党の動向も含めて、注意しておく必要がある。

 私たちは今度こそ正念場に立たされる。改憲がこの国と国民を平和に導いてくれるのか。憲法についての学習も必要だ。私たちの周囲の人たち、家族や友人知人など多くの人たちと護憲の思いを共有することが大事である。
 

 

民主主義が懇願する「まともな大人」

七月十七日東京新聞コラム「民主主義の手柄」と題する内田樹(たつる)神戸女学院大名誉教授の記事に目が留まった。

 参院選結果と安倍元首相の銃撃事件に落胆した青年から質問が届いた。彼は民主主義と選挙が暴力を前にして意味を持たなくなってしまうことに、無力を感じているという。

 内田先生の返答。民主制とは国民の一定数が「まともな大人」でないとそれが機能しない制度である。身銭を切ってでも民主制を守ることが自分の責務だと思わない人(つまり『子ども』)の比率がある閾値(しきいち)を超えると民主制は終わる。民主制自体が人々に向かって大人になることを懇願し、何人かの市民がそれに応えることで民主制は機能し維持される。民主制がまだなんとか機能しているのは、それに心を痛めている人たちがいるからだ。あなたもその一人だとしてその青年に返信した。

 さて、内田先生は民主制の維持に必要な「まともな大人」の比率を五十人中四人と想定した。だが、それも限界に近付きつつあるという。

 民主制は崖っ縁に立たされている。私たちに四人中の一人なって欲しいと懇願している。



空蝉の命生ましむ深き爪     昌利

心地よき改憲論の笛の音に連れられ戻らぬハーメルンの子ら     蒼果

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