戦争の過ちを二度と繰り返さないために

「9条の会さかい」発信 2022.9 No.66

2022年10月02日 13:29

情と理の峻別を

 世論に耳を傾けることもなく、説明も尽くさずに安倍国葬は強行された。国葬反対の世論はこのところにはないほどに大きかった。第二次安倍政権当時「特定秘密保護法」「集団安保法制」「共謀罪法」が強行採決されたときに、多くの市民が国会前や各地で反対の声を上げた。それ以来の高い関心を喚起したように映る。

 

 世論の六割超が反対するほど国民を分断に巻き込んだ国葬であった。安倍さんの死を悼み、自らの弔意によって献花した市民も多かった。故人の悲惨な死と政治家としての存在感に報いる人情の発露としての弔いだろう。そして国葬を肯定する論もこれを共有するものだろう。

 

 一方、新聞ジャーナリズムにおける国葬批判の論調は概ね共通している。閣議決定の正当化についての疑問、法的根拠の無さ、国会審議と財政民主主義の軽視、国民主権からの逸脱などが指摘された。道理に従えば法治国家のあり方として、国葬はあり得ない国事行為であった。

 

 情と理が対立したときに、峻別する姿勢が大事である。ましてや国家的行為ならばなおさらのことである。八十一年前、国民感情を煽ってこの国は戦争にまい進した。情動的な国民性であると思えばこそ危惧が募る。今後、世論を二分するような有事安全保障事態が生じたときにも理を軸にした声を上げなければならない。 

 

 

 

 

 声を上げることの意義

 9月20日、古河駅東口前にて安倍国葬反対のスタンディングをした。17名の有志が参加した。当会からは藤嶋、八田、大竹が加わった。それぞれ自作のプラカードをかざして、駅前を行き交う人達に自らの意思を示した。

 この国葬問題に関心をもって欲しいからこそ夕方の駅前を選んだ。三十分間のスタンディングではあったが、国葬反対のチラシを受け取り、反対署名に賛同してくれる通行人がいることに関心の高さを感じることが出来た。

 国葬が発表されてほどない8月、当会は境町教育長に小中学校等への弔意強制をしないよう要請した。9月24日東京新聞茨城面に県内自治体への国葬弔意対応アンケートの結果が掲載された。「半旗掲揚する」と答えた自治体は笠間市とつくばみらい市二市だった。アンケート項目全てに「ノーコメント」とした境町の返答が異様に映った。9月27日国葬当日は町内各小中学校では平常通りだったようだ。教育行政への不当な支配に服することなく、政治的中立性が護られものと評価する。

 

 

保守とは

 「保守層」とか「保守派」という言葉がマスコミで用いられる。主に自民党系の政治家や支持層、とりわけ復古的、父性的、国家主義的な思考や言動をする人たちを指しているようでもある。それらは故安倍元首相を筆頭にして、それに連なるような人たちの群像をいわゆる「保守・・」と称しているようにもとれる。

 しかし、「保守とは」との問いに浅学を承知で答えれば、人間は間違いを犯すものであるからこそ、理性や知性に疑いの目を向ける姿勢を要す。併せて、伝統的な価値観とか歴史への反省を保ちながら事を進める謙虚さと慎重な態度である。そのためには、他者の異なる意見に傾聴しながら合意形成することであるが、見解が相違する他者と自己との葛藤を克服するだけの度量も不可欠だと教わった。

  第二次安倍政権が発足してから約十年が経過したが、いわゆる保守政治家や保守層による政治的な産物はいびつな改革とさまざまな分断であった。偏狭な歴史認識、偏った法解釈による民主主義を揺るがす法案の強行採決、非正規雇用層の拡大と困窮層の蔓延、対立する政敵への容赦のない批判と言論封じの非寛容さなどきりがない。自党自派や自己本位にしてきた人たちを「保守・・」と称するには強い抵抗がある。「保身・・」とでも言ったらどうか。



 

 

 国葬やデモの声あり秋寂し   昌利  

声あまた冷めぬうちに消えぬうちに改憲阻止の力に連なれ(^^)   蒼果

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