戦争の過ちを二度と繰り返さないために

「9条の会さかい」発信 2023.12 No.80

2023年12月29日 12:51

検察頼みは無責任

 自民党安倍派を中心にパーティー券売上の一部が自派議員への裏金として渡っていた。東京地検特捜部が動き出した。直近では安倍派幹部5人への事情徴取に及んでいる。

 この事件は去年11月「しんぶん赤旗」が「主要5派閥2500万円不記載」とスクーブしたことで明るみに出た。これに着目した神戸学院大の上脇博之教授が企業側のパー券支出額と派閥の売上額を調べた結果、その差額の大きさに東京地検に告発した。この二者の功績である。

 信頼を失墜した岸田首相になす術はなく、党内(特に若手議員)からも自浄を求める動きすらない凋落ぶりは、政権自民党の末期症状と映る。これも派閥解消の形骸化と多数を占める世襲議員たちの使命感の希薄さが露呈している。

 一強政治は必ず腐る。長期政権に座してはいたが数々の疑惑にまみれた安倍体質は現在も引き継がれている。このところ鳴りを潜めていた特捜部がここに来てやっと動き出した。これで岸田政権は幕を閉じると期待する国民も多いだろうが、それは検察の仕事ではない。検察頼みとするならば主権者としては無責任である。首相の交代があったところで体質は温存される。大事なことは国民特に有権者が政治に参加することだ。おかしいと声を上げることだ。政治を変えるために選挙に行くことだ。

 

 

紛争に巻き込まれる危険

 政府は22日、殺傷能力のある武器輸出の解禁に踏み切った。国会での議論がないままに、外交と防衛政策を統括する国家安全保障会議で決議した。国の基本姿勢にかかわる重要政策が国民の意思が介在しない場で決められていくことに、疑念と懸念を持たざるを得ない。

 これによって、日本が保有する迎撃ミサイルを米国に輸出するという。ウクライナへの軍事支援を続ける米国では兵器の在庫が不足している。米国の求めに応じて、日本が兵器供給国になる形が作られたのだ。

 27日、早速ロシア外務省がこれに反応した。ロシアに対する敵対行為とみなすと言及したのだから穏やかではない。米国からウクライナへの輸出はないと日本が説明したところで受け入れられるほど甘くはない。米国に追従する形で日本はウクライナとロシアの戦争にさらに一歩踏み入れてしまった危惧が拭えない。

 今回の決議では輸出相手国(ライセンス元)から第三国への輸出までも解禁している。さらに紛争国への流出に関しては、輸出国に事前の協議と厳格な審査を求めると政府は説明しているが、そんなことで歯止めになるはずがない。相手国の思惑次第では、手の届かないところで他国の紛争に巻き込まれる危険が付きまとう。

 憲法9条は国際紛争を解決する手段として武力による威嚇と行使を禁じている。これに反する武器輸出解禁に与することはできない。政府が憲法規範の認識を持たないなかで、この国のあり方を一部の政治家や官僚だけに任せるにはあまりにも危険過ぎるからだ。 

 

 

それでも保険証を廃止するのか

 政府は健康保険証の発行を来年秋に終了すると表明した。「いつまでたっても不安だとおっしゃるのでは、物事は進まない」と強弁する河野氏には担当大臣としての適格性を疑わざるを得ない。マイナ保険証の利用率が4~5%と極めて低い現状にあり、不安が払拭されていないことは明らかだ。全国7070の医療機関の88%が現行保険証の存続を訴えている。
 マイナカード普及に2兆円超、事業経費も2千億円以上が盛り込まれている。これほどの税金をつぎ込んでも国民のウケが悪い。制度の導入だけが目的化しているに過ぎないからだ。
 この会報でも街頭活動でも繰り返し訴えてきた。現行保険証は存続すべきだ。その上でマイナ保険証が国民に受け入れられるように改善すべきだ。それが国民に寄り添った政治だ。

 

 

年の暮検察庁の忙しなく  昌利   

忙しなき暮の落日眺めつつ国よ政治よ何処へと沈むか  蒼果

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