戦争の過ちを二度と繰り返さないために

「9条の会さかい」発信 2023.4  N0.73

2023年05月01日 13:01

そもそもは集団的自衛権を放棄することだ

 浜田防衛相は、集団的自衛権行使による相手国から反撃によって「大規模な被害が生じる可能性も完全に否定できない」と二月の国会で答弁した。米国など密接な関係にある他国が攻撃され、日本の存立が脅かされるとの判断が下り、集団的自衛権の発動によって日本が攻撃に加わった場合の被害の認識を示した。浜田氏は「このために、そもそも日本に武力攻撃が発生しないよう抑止力の強化が重要だ」と強調した。

 この認識には「そもそも」という出発点が間違っている。岸田政権は「敵基地攻撃能力」を集団的自衛権行使で使うこと認めている。それ故、そもそも集団的自衛権が被害を及ぼす誘引となる。日本を守るどころか、米国の戦争に巻き込まれて被害を受けることに他ならない。

 浜田防衛相の認識を裏付けするような計画がある。沖縄や九州地方を中心に、陸上自衛隊と海上自衛隊の4施設で司令部の地下化を2028年度までに進める。さらに住民が避難するシェルターを台湾に近い基地のある沖縄と先島諸島に配備するとの計画だ。そもそもこれが平和な国の姿ではないことは子供でも分かる。

 

防衛力強化財源確保の手口 

防衛費を今後5年間で27兆円から43兆円に増大すると岸田政権は閣議決定した。そのための増税と財源確保が国会で審議されている。増税は法人税、復興特別所得税、たばこ税を27年度までに段階的に引き上げ、合わせて1兆円の税収確保を目論む。なかでも東日本大震災復興のために使う税の半分を軍備に横流しして、不足分は課税期間を14年間延長する詐欺的手口である。禁煙しよう!反戦に繋がるから。

 もう一つの手口が国庫返納である。「国立病院機構」の積立金422億円、社会保険病院などの「地域医療機能推進機構」の積立金324億円を国庫に返納させる。公的病院はコロナ患者の受け入れに中心的な役割を担っている。パンデミックには医療提供の義務が課せられ、それに対応した医療設備と機能が要求される。また、国立病院の看護師の給与水準は国家公務員や他の公立病院よりも低いという。それらへの待遇改善が医療の質の向上に繋がる。国民の生命を守ると言うならば、国庫返納でむしり取るようなことはすべきではない。

 この他にも「ゼロゼロ資金」基金の残金2350億円も国庫に返納させようとしている。苦境下にある中小企業への無利子無担保の貸付資金だが、休廃業件数は去年約5万件と過去二番目に多い。支援が行き届いていないからだ。そこに手を差し伸べるのが政治の役目だろう。

 

「食料への権利」確立へ「食の安全保障」その3 

 2018年4月に「種子法」が廃止されたことに、全国の農家や消費者が原告となって国を相手に提訴した。東京地裁はこの訴えを退けた。
「種子法」によって日本人の主食であるコメ、麦、大豆の種子は、国が管理し、毎年各都道府県がその土地や気候に合った種子を農家に安価で安定的に供給してきた。それが安倍政権の下で、従来からの種子生産と供給に関する国の責任を放棄し、民間企業が参入する道が引かれた。すでに野菜の種子の90%は多国籍企業の手中にあり、一代限りのF1種になって自家採種生産が出来ない。同様に主食であるコメ、麦、大豆も多国籍企業の標的になれば、農家にとっても消費者にとっても深刻な事態になり得る。種子法廃止訴訟では、憲法25条の生存権に基づく「食への権利」、つまり「誰もが持続的に安定して安全な食料供給をうける権利」を侵害するとして、「種子法」廃止の無効性を訴えた。一審は敗訴したものの、「健康で文化的な最低限の生活を営む権利の実現に向けては、一定程度の衣食住の保証が必要となることは否定できない」とする司法判断が示されたようだ。原告団は東京高裁に控訴した。「食料への権利」を確立するために勝訴しなければならない。

 



長崎忌市長の声の凛として  昌利   

うぶすなの朝餉夕餉の恵みあり猫の額に鍬を打ちつつ  蒼果 

サイト内検索

お問い合わせ先

9条の会さかい(事務局) 090-8729-3008