戦争の過ちを二度と繰り返さないために
「9条の会さかい」発信 2024.2 82号
法の下の平等にて納税義務を果たせ
憲法30条は国民に納税の義務を課している。自民党議員の裏金は所得であり、課税対象になるとの指摘がある。そうならば税務署が乗り出すはずだが、その様子は見えて来ない。
鈴木俊一財務相は裏金にまつわる納税義務について、議員個人が判断すべきとの見解を示し、物議を呼んだ。納税義務が政治家個人の判断にあるとの財務相の弁には驚く他ない。
パーティー券売り上げの一部を受け取っ「9条の会さかい」発信たとされる85人の議員らが政治資金収支報告書を修正した総額は、2018年から5年間で総額5億8千万円に上る。使い道は何か。カネで政治が歪められていないか解明すべきだ。
折しも確定申告の時期にあり、「#確定申告ボイコット」や「納税は個人の自由だったのか」などの批判がネット上を飛び交った。当然である。多くの国民は源泉徴収によって一円たりとも漏れなく納税している。払い過ぎた税金は、各種領収書や控除証明書等をかき集めて申告し、わずかな還付金でも取り戻そうとするのが私たち納税者のつましい姿だ。
憲法14条の法の下の平等は議員でも同じだ。裏金議員の不記載追徴課税額は少なくとも1億3千万円以上に上るという。税務署の出番ではないのか。カネの「出口」も突き止めよ!
能登半島地震避難とマイナカード
能登半島地震避難の際に、河野太郎デジタル相は「マイナカードを持って避難して」と呼びかけた。「マイナ避難」によって、避難所受け入れと動向把握が効率的に出来る。マイナカードは災害避難に役立つと喧伝してきたからだ。
一方で避難した人たちにとっては、紛失を心配しながら持ち歩くことを嫌って、持たずに避難した人も多くいたようだ。混乱のなかでマイナカード不具合の懸念もあり、マイナカードは政府の思惑通りには機能しなかったという。
被災者のために全国保険医団体連合会が救いの手を差し伸べた。マイナは勿論、現行保険証がなくても、医療機関で氏名や生年月日、加入医療保険などを口頭で伝えれば、窓口の支払いの免除や猶予が受けられる措置が取られた。
自然災害では広域の停電に陥ることが想定される。そんな状況でマイナカードを読み取れるはずがない。状況を理解出来ない河野デジ相の呼びかけが虚しく響く。災害時の緊急避難では命最優先で逃げるのが原則であり、「マイナカードを持って逃げろ」との呼び掛けは誤ったメッセージにもなることがある。〈河野さん あなたのマイナ幻想で害を被るのは国民だ!〉
「あなたは祖国のために戦えますか」とは
右派的言動で知られるジャーナリスト櫻井よしこ氏が自身のインタネット番組を紹介する際に、この右の言葉を発進してSNSで炎上しているという記事を見た。「自分は安全な場所にいて、若者を戦場に送るのか」他、多くの批判的コメントが上がったという。これに櫻井氏は「日本が望んでいなくても戦争が向こうからやってくるのが今の時代です。たとえば中国です。北朝鮮です。ロシアだってそうでしょう」などと自身のHPで反論している。
ネット炎上に参戦する気など毛頭ないが、私たち平和憲法を護ろうとする市民が聞いても胸騒ぎを覚えずにはいられないフレーズである。本来ならば櫻井氏の番組を視聴した上で述べるべきこととは思うが、それにしても「あなたは祖国のために戦えますか」の問いかけは、狭い選択肢の「イエスかノー」に単純化された稚拙な議論をたどるように見えてならない。
私たちの国が「戦える国になろう」としていることは確かである。日米同盟を基軸に集団安保体制が強化され、敵基地攻撃力保有や武器輸出などの防衛施策が外交政策の上位に逆転して置かれている。「祖国のために戦えますか」の問いかけは、これら日本の防衛姿勢に共鳴し、戦うことを前提にしていると受け取れるからだ。
凍て戻る派閥の長の顔曇る 昌利
かの戦「安全地帯にいる人の言ふこと聞くな」と教訓(おしえ)をり 蒼果