戦争の過ちを二度と繰り返さないために

「9条の会さかい」発信 2025.12 No.104

2026年01月06日 00:08

留まらぬ軍拡予算初の9兆円超

 政府は26年度当初予算案を閣議決定した。一般会計122兆3029億円、防衛費9兆353億円いずれも過去最大となった。その背景には、高市「責任ある積極財政」に加えて、国債(借金)と利払いの返済も初めて30兆円超がある。
 防衛費の財源としては、戦後長く「禁じ手」とされてきた建設国債から約6千億円を注ぎ込んで膨張する予算を補填した。ここ12年間連続で過去最大を記録しているが、22年度に岸田政権がGDP比1%から2%に倍増を掲げてからは大幅な伸びが目立っている。建設国債に手を付ける「禁じ手」とは、先の大戦で多額の国債を発行して軍事費を膨張させたことへの反省に由来するが、財政規律はタガが外れたままである。一方、支出では米国製の武器の購入額を分割払いする「兵器ローン」の返済額が4兆円超と支出の半分以上を占める。   これも安倍政権以後に米国製兵器を爆買したことによる尻拭いに他ならない。
 これら著しい防衛費増大の発端は岸田政権当時の安保3文書改訂にある。その財源としては、26年4月からたばこ税・法人税、27年1月から所得税が増税されることを国民は知って欲しい。

 

核保有は選択肢にならない

 首相官邸の安全保障担当する政府高官が記者団へのオフレコ発言(12月18日)「日本は核兵器を保有すべき」に対して、野党は元より自民党内からも罷免要求の声が上がるがその対応は見えて来ない。高官は個人的見解との断りの様だが、非核三原則の見直しを目論む高市首相の本音とガバナンスの軽さがこんなところから漏れ出たと受け取られても仕方のない妄言である。
 この発言で思い出した。保管していた東京新聞2022年3月1日付の記事である。民放テレビに出演した安倍晋三元首相の口から飛び出した「核兵器共有論」である。安倍氏はウクライナ危機に乗じて、「例えば北朝鮮が日本にミサイルを撃ち込む」と突然こんな例え話を持ち出した。日本が攻撃された場合に、反撃を米国任せにするならば日米同盟が危機に瀕するとして、米国と核兵器を共有して運用する体制に言及した。両者の核保有論は地続きと見るのが自然であろう。
 日本は唯一の被爆国であり、核の非人道性を一番理解しているはずだ。核保有は核廃絶の世界的潮流にも逆行する。憲法9条をはじめ核拡散防止条約NPT、日米原子力協定の平和利用目的、国内法の原子力基本法等の法と条約の体系に反する。核保有が選択肢になる余地はなく、保有論の愚さがある。

 

監視密告社会をつくるスパイ防止法案

 スパイ防止法をつくる動きが活発である。国民民主と参政党が既に法案を提出し、自民と維新は連立合意の中で法案策定と成立を掲げている。しかし、スパイ活動やそれに関連する事件が発生している状況でもなく、立法化に疑問がある。
 自民維新案では27年度末まで(仮)対外情報庁や情報要員の養成機関を立ち上げるとの事だが、米国の中央情報局CIAや英国の秘密情報局MI16の模倣なのか。組織には「諜報」「防諜」「非公然活動」の機能を持たせた活動をさせる様だが、ならばスパイ防止法とはスパイをつくることではないか。
 排外主義を標榜する政治が顕著になっている。表向きは外国人スパイへの対応とされる法案だが、それとは裏腹に国民監視が強化される危険性を孕む。既に特定秘密保護法や共謀罪法が制定され、国民の知る権利や人権が制限されている。戦前戦中には「治安維持法」が猛威を振るい、国民を弾圧した歴史を知っておくべきだ。時の政権や政策にとって不都合な言動や思想がスパイ防止法の網にかかる脅威にもなり得、密告を助長するもの言えぬ社会の到来ともなる。改憲の道具に使われたら、その後に来るものが恐ろしい。
 自民党は1985年にもスパイ防止法案を提出したが世論の強い反対で廃案になった。だが排外主義が拡大する現状では、この法案に対する社会の受容性が高くなっている懸念は大きい。声を上げて反対しなければならない。


民置きしままの政界冬日影    昌利    

核の傘幻想に過ぎぬ冬晴れの空の青さに薄き雲見ゆ   蒼果      

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