戦争の過ちを二度と繰り返さないために

「9条の会さかい」発信 2026.2 105号

2026年02月13日 23:08

強いリーダー待望社会の危うさ

 閉塞感や不安感が濃くなった社会が強いリーダーを待望する現象はファシズムの台頭を誘い、民主主義崩壊の始まりと言われる。その先で待ち構えているものは恐怖政治と戦争、歴史はそう教える。今、そのような空気感を感じてならない。
 選挙演説で右手拳を振り上げて演説する高市首相のポーズは、多くの有権者の心をつかんだ。それが選挙で闘うヒロインを連想させるからか。「国論を二分する」という国民を分断する政策を掲げ、国民の信を問うと解散を強行したが、その演説が政策の核心に触れることはなかった。「国家インテリジェンス機能強化と対外情報機関の設置」、「安保三文書の改訂」、「自衛隊明記、緊急事態対応への改憲」等々は、この国の形を変えてしまうものばかりだ。実現すれば国民の権利とか、周辺国との関係をどうすると聴衆に向かって語ることはなかった。英タイムズ紙は“日本で選挙に勝つには、核心について何も言うな!”とこれを揶揄した。
 高市自民党に一票を投じた支持者のどれほどが公約を認識していたろうか。SNSで1億回もの拡散再生されたサナエ画像はトレンド化して、投票者心理がこれに相乗りした様に映る。大手新聞テレビは、自民党の圧倒的優位を報じて投票者を誘導するかの報道姿勢、さながら翼賛体制に強い違和感を持った。しかし、どれほど支持率が高くても、高市政権に白紙委任したわけではない。その是非を見極めるのはこれからだ。民主主義と平和の行く末を案じる国民ならば抗わざるを得ない。

 

「中道改革連合」に捧げる鎮魂歌

 立憲民主党・公明党結成の「中道改革連合」が大敗した。野田・斉藤両氏の清潔感は十分だったが、高市氏の勢いには及ばなかった。せめて女性代表擁立ならとイメージ戦略の失敗も囁かれる。
 元々両党はリベラルな政党であり親和性が高く、無理があったとは思えない。とは言っても立民と公明には際立つ違いもある。与党時代の公明は自民の下で「特定秘密保護法」や「集団安保法制」「共謀罪法」の成立や原発推進の政策等を支えてきた。立民にとっては矛盾を孕んでの船出だったろう。中道結成のために、立民は公明に大きく妥協した。安保法制と集団的自衛権行使は違憲とするこれまでの主張を転換した。エネルギー政策も同様に脱原発から再稼働容認へと変更した。この変貌に立民の支持者が離れたとの指摘がある。
 しかし、それを越えての両党の結集は評価されるべきものがあっても良いはずだ。右傾化を強め、政治とカネに決別出来ない自民党にカウンターなれと立ち上がったのだから。熱狂の高市政権も国民生活が向上しなければやがて支持者は離れ、再び大きな揺り戻しが起こるだろう。その時に中道というスタンスが重要な受け皿になれば良い。党内の不協和音も聞かれるが、課題を克服して一皮むけた中道に成長することを期待したい。

 

改憲発議の議席試算から(心してかからねば)

 衆院選の結果、自民党が絶対安定多数を占めたことで改憲発議が現実化した。改憲発議は「衆議院100人以上、参議院50人以上の賛成により改憲原案が発議され、衆参それぞれの憲法審査会を経て本会議に付される。両院それぞれの本会議にて総議員の2/3以上の賛成で可決した場合、国会が憲法改正の発議を行い、国民に提案する」(総務省)。現議席では、衆議院では310以上、参議院では166以上で発議可決となる。従って、衆議院全議席465、内自民党316だから自民単独で可決出来る。一方、参議院は自民党・維新与党120と満たない。改憲勢力と見られる国民・参政・保守が参入しても162で未だ4は不足する。無所属9の動向次第だ。
 参院半数改選任期は28年7月、衆院任期満了は28年10月、高市総裁残任期が27年9月だ。期間的制約を考慮すれば憲法審査会に拍車をかけて、早々に改憲発議に持ち込む可能性もあり得る。
 自民党改憲案は「9条への自衛隊と自衛措置の明記、緊急事態条項新設、参院合区の解消、教育環境の充実」4項目が想定される。国民投票が最後の砦となる。心してかからねばならない。


裸木の肌(はだえ)の下の力かな   昌利    

寒たへて庭の白梅にほへどもやすらかならぬあたら春を   蒼果     

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