戦争の過ちを二度と繰り返さないために

「9条の会さかい」発信 2026.9 No.112

2026年10月01日 19:41

ジャガイモを守れ

 輸入禁止の米国産の生ジャガイモを解禁するとの農水省に批判の声が上がっている。米国によるジャガイモ輸入の圧力は1993年に始まり、2006年には加工品に限定して解禁した。ところがトランプ政権が誕生すると生ジャガイモの全面解禁を迫り、農水省では何とかこれを凌いで来た。しかし第二次トランプ政権で再燃し、解禁に追い込まれる事態になっているようだ。
 拒否は出来ないのか? 農水省の説明では、WTO(世界貿易機関)加盟国間での相手国の輸入要求には防疫(病害虫の駆除)を除き、自国産業を守るための禁輸措置はルール違反になるとの事だ。現段階では生ジャガイモに付着した特定害虫が除去されたものだけの持ち込みが可能かどうかの交渉だ。
 これに全農と生産者は強く反発する。害虫の侵入リスクが完全に排除されないからだ。その害虫はシロシストセンチュウ、2015年に網走で作物被害が見つかり、駆除に手を焼いたとの事だ。この害虫の幼虫は殻内に生息し、農薬や寒冷への耐性が強く、10年以上も生き続ける。一旦発生したら絶滅させるまでジャガイモは作れず、麦やビートへの輪作体系が崩壊する。米国と違い耕地が限られた日本では被害が拡散されたら致命的だ。
解禁要求の背景は、11月中間選挙に向けて低落する支持率回復に躍起になるトランプが震源だ。食料自給率100%を掲げる高市首相はこれに抵抗しないのか。ジャガイモは自給率70%の優良作物だからこそ、生産と消費の連携で守りたいものだ。

 

子ども達を守れ

 小泉防衛相は子ども向け防衛白書「まるわかり日本の防衛」を小中高生に配布すると表明。副教材としての配布に文科省は認可を求めない。あえて子ども達に防衛を説明しようとする意図は何か。
 防衛省HPにてその内容を確認したところ、構成は自衛隊組織の解説であるが問題個所も散見される。「日本とは政治経済に関する価値観を共有しない国家や地域が複数あります」とあって、日本を脅かす周辺国として北朝鮮・中国・ロシアを名指しで敵対国扱いしている。また、ロシアを侵略戦争国家と断定している。一方でそれらに対抗するかのように、米国との強固な軍事同盟を結び、米軍の強大さを強調することに紙面を割いている。
 戦後の日本は平和主義を掲げて周辺国との緊張緩和外交をしてきた。政治や経済等の価値観に違いがあるからこそ軸足を外交に置く。それが国のあるべき姿勢だ。しかし、この副教材には「外交」の文言は一ヶ所だけ。そこからは周辺国家との関係を偏った視点で切り取り、軍事的緊張に依拠した抑止力の増強を正当化する姿勢が目立つ。
 この副教材は子ども達の国際感覚にどのように影響するだろうか。周辺国への敵愾意識が刷り込まれることになりはしないか。冊子配布は教育現場への不当な介入ではないか。それを防ぐために、教育基本法による政治的中立と不偏不党、自主自立等を確保する役目がある。子ども達の健全な成長を守るためには教育関係者の見識が最も大事なことだ。

 

 

比例代表議席を守れ

 自民維新与党が提出する衆議院の比例代表議席数削減法案の行方に要注意だ。比例議席数176から45議席を削減する。しかも与野党協議で1年以内にまとまらなければ成立という乱暴な法案だ。
 9月28日付東京新聞の記事から。これほどの議席削減を2月の衆院選結果に当てはめて試算すると、与党の議席占有率が75%から80%超に上昇する。これは戦時中、東条内閣の戦争遂行に賛同する議員が8割以上を占めた「翼賛選挙」に匹敵すると。
 「小選挙区比例代表並立制」は小選挙区制で民意が当選者に集約される反面「死票」も多く出る。一方で比例代表性に多様な民意を吸い上げる議席配分機能を持たせて、小選挙区制の弊害を補正する。
 比例議席削減は多数議席の自民党に有利に働き、益々「数の力」の政治が露わになる。反面、権力を縛る立憲主義を弱体化させる。その先に待ち構えているのは強権的な国柄だ。これを阻止するには国民の声と政権与党の支持率を下げるしかない。


 

 

秋茄子は病みて落つるや長雨にもどかしくもあり醒めやらぬ熱狂(ねつ)    蒼果

 

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