戦争の過ちを二度と繰り返さないために

「9条の会さかい発信」 2020年10月 No.43

2020年10月21日 17:35

2022年2月22日22時22分22秒

 この日時に東アジア各国の首脳に『もう戦争はしない』と不戦宣言してもらうプロジェクト。八十五歳以上の戦争体験を持つ「長老」たち。発起人の元早稲田大学総長西原春夫氏(92歳)他30名余り、作家の瀬戸内寂聴氏、元国連事務次長明石康氏、福田康夫元首相、河野洋平元衆議院議長等が名を連ねての提言である。
 戦争の原因は「対立」であり、世界は排外的ナショナリズム、一国中心主義による国家間対立が露骨になってしまった今、国家間相互の共通利益を見出すことが大事。それが人類共通の脅威になっているパンデミックの超克こそ人類を結びつけるチャンスと捉えている。
 先ず国内で不戦の理念を国民に発信し、若者や超党派議員よる推進組織を作る。次に、マレーシアのマハティール前首相など東アジアの長老と連携して組織を作るという。
 この構想は、アジアの国々に甚大な被害を与えた反省から、戦争放棄を憲法に刻んだ日本の使命と語る。西原氏と「長老」たちの勢いが妙にフレッシュに響く。米国隷従から日本を解き放つ契機になることを願う。

 

アンダーコントロールとは海洋放出だったのか

 福島第一原発から排出されるトリチウムを含む浄化汚染水の処分について、政府は海洋放出を決める方針だ。タンク容量の限界が137万トン、2022年秋頃に迫っているからだ。
 全漁連は経産相と環境相に「わが国の漁業者の総意として絶対反対」とする要請書を手渡した。海洋放出による風評被害と漁業の将来展望を壊しかねないとして、慎重な対応を求めた。
 地元漁業は、東日本大震災による津波で壊滅的な打撃を被ったが、その翌年には復興を目指して「試験操業」に着手、魚の汚染調査を開始した。魚介類や海水に含まれる放射性物質をモニタリングしながら、少しずつ水揚げ対象魚種の拡大を図ってきた。地元の漁師たちは、漁具を新たに買い直し、必死になって漁を続けている。それだけに、処理水を海に放出すれば検査の数値に関わりなく再び風評に及ぶという不安、さらに後継者のなり手を奪うことによる漁業の将来を懸念する。それは漁師のみならず、私たち消費者も無関心ではいられないことだ。
 梶山経産相は復興を優先する余り、早期決定の姿勢だ。「風評の影響は徹底的に対応をする」と漁連に応じたが、場当たり的な対応になることは否めない。五輪誘致で安倍首相が言ったアンダーコントロールとは海洋放出だったのか。

 

「強制ではない」なら圧力か

 故中曽根康弘元総理の内閣・自民党合同葬儀(17日)に当り、政府は強制ではないとしながらも、弔旗や黙とうによる弔意表明の要請を国立大などに通知した。都道府県教育委員会には、文科次官名で通知された。それを受けて、県教委は各市町村教育委員会への周知を図ったとされる。

 共同通信社の調査では全国立大の七割が弔旗や半旗を掲げて文科次官通知に従った。

 茨城県教委は、方針を示さず通知を市町村教委に送付した。県教委としての弔意表明は求めなかったという。県立学校に向けた要請はないことから県立高校等には通知せずとした。

 中曽根氏の出身地群馬県、県教委は市町村教委と県立学校に弔意は任意として通知を送付。県教育長は「郷土の偉人。功績を子どもたちに知ってもらうのは必須」と話す言葉には、弔意と教育の要請が混在しているように聞こえる。

 コロナ禍で生活に困窮する国民もいる中、二億円の出費に批判が出た合同葬儀。故人の業績への評価と弔意はそれぞれである。ましてや行政トップの名において弔意表明を求めた通知となれば、それが強制ではないとしても同調圧力にはなるだろう。ひいては特定政党への支持政治教育を禁じた教育基本法と内心の自由を保障した憲法の理念にも反しよう。

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