戦争の過ちを二度と繰り返さないために

「9条の会さかい発信」 2020年2月 No.35

2020年03月04日 10:19

チャスラフスカの想い「東京2020」

「金メダル30個獲得」を公表している日本。オリンピックによる国家間競争を禁ずる五輪憲章の理念とはほど遠い姿勢だ。「原発事故汚染はアンダーコントロール」安倍首相が嘘をついてまで誘致した背後には、このビッグイベントを「国民を一つに」と具する政権の思惑が見える。選手をメダル競争に駆り立て、国民にボランティア動員をかける。ナショナリズム発揚に利して、「改憲」に持ち込むシナリオか。

 そんな「東京2020」観戦が叶わず4年前に亡くなったチャスラフスカ。先の東京五輪、体操金メダリスト。その美貌と優雅な演技に「東京の恋人」と観衆は讃えた。チェコの国民的英雄だがメダリストだからではない。

 東京五輪から四年後、チェコスロバキアに民主化運動が起こった「プラハの春」。ソ連率いるワルシャワ条約機構軍二十数万の部隊がチェコに侵攻、民主化制圧を強行した。つかの間の春だった。チャスラフスカは民主化継続を呼びかける『二千語宣言』に署名、抵抗した。傀儡政権は撤回を迫る、拒否を貫いた。ソ連監視下から山村に逃れ、孤独な練習を積んだ。ソ連侵攻半年後の1968年10月メキシコ五輪、気迫の演技は東京に続く個人優勝。平均台ではソビエトのクチンスカヤが優勝、表彰台でチャスラフスカはソビエト国旗から顔を背けて侵攻に抗議した。映像が世界に衝撃を与えた。帰国したチャスラフスカを待ち構えていたのはスポーツ界からの追放と生活苦、それに耐えた。

89年末ベルリンの壁崩壊、チェコは無血の「ビロード革命」を果たした。二十年に及ぶ弾圧から解放された。革命広場の群衆を前にチャスラフスカは語った。「もし『二千語宣言』署名を撤回していたらここには立てなかった」と。

チャスラフスカはチェコオリンピック委員会名誉会長として、2020東京開催を支持した。「次の大会は日本人の人間性と謙虚さを示す場にしてほしい」と話したという。

 

 

乱れ桜を散らさせるな!

 「桜を見る会」連日野党追及にもめげずの安倍首相答弁。よくもまあこれほど毀損された言葉の瓦礫に中に籠城出来るものかと思うほどの悪態を国民は見せつけられている。
 共同通信社による2月世論調査では、世論の85%が安倍首相の説明を不十分としている。安倍さんの答弁態度の酷さも影響して、内閣支持率が1月から8ポイントも急落して41%、不支持が46%と逆転した。
そんなところに悪性の風が吹き始めた。新型ウイルス肺炎感染の拡大に、テレビ・新聞は一斉にこちらへと照準を変えてしまった。さらに、混乱に追い打ちをかけるように、小中高校への三月からの臨時休校要請が安倍総理自らによって放たれた。だが、

「風さそふ 花よりもなほ我はまた 残りの 国会 いかにとやせん」 安倍野悪企頭

辞世の心境になるような人ではないから、国民は“切腹申し付ける”と宣告したいはず。この乱れ桜、悪性風邪に散らさせてなるまいぞ。

 

 

おぞましいほどの権力欲

 まるでがん細胞が触手を伸ばし、体を蝕んでいく様相だ。東京高検黒川検事長の停年延長に検察庁法を押しのけ、法解釈変更して、閣議決定により決めたと答弁する安倍内閣。黒川氏を検事総長に据える思惑とマスコミは報じている。国会を蔑ろにし、三権分立を崩壊させる暴挙だ。内閣法制局にこれを諫める使命感は毛頭ない。森法相の答弁は二転三転して破綻している。隣国を指して「人治国家」と揶揄してきたが、日本もその域に達してしまったのか。

 第二次安倍政権以降NHK、日銀、内閣法制局、原子力規制員会とトップ人事に介入して、政権寄りの人脈にすげ替えて来た。一国の総理大臣でも逮捕できる検察機構への介入、うがった見方をすれば「桜を見る会」疑惑告発の予防線張りか。この権力欲はこの政権の宿痾だ。

 

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