戦争の過ちを二度と繰り返さないために

「9条の会さかい発信」 2020年8月 No.41

2020年08月24日 13:44

 「いばらきアマビエちゃん」の擬態

 県内でもコロナ感染者が再急増する中、8月18日に大井川知事は感染防止システムへの登録義務条例案をこの奇怪な呼び名とともに発表。登録は不特定多数が利用する事業所と利用客が対象。飲食店やホテル、ショッピングモール、理容・美容業、大規模イベントなどだ。

 

 登録することで事業者は「感染防止対策宣誓書」を掲示、それを履行する義務を負い、違反すれば指導・勧告、改善しないと店名が公表される。客も利用した際に登録を義務付ける。もしも店から感染者が出たらメールを受け、場合により行動履歴調査に従い検体を提供する。一方、客が店の履行状態を報告すると抽選でご褒美を出す監視励行が盛り込まれた。罰則はなく、県議会の異論に配慮したそうだ。

 

 義務付けを盛り込んだ措置は、政府や他県では踏み込んでいない。大井川知事は先進的と意気込む。「県民投票条例」には自らの賛否も示せず議会に丸投げした後ろ向きさとは対照的だ。

 

 条例案へのパブリックコメントが8月31日まで募集されている。コロナ禍による私権の制限や侵害が「公共の福祉」の名で正当化されやすい。それが多面的であれば社会的受忍の幅が広がり、行政権の強大化を生みやすい。その視点で条例案を問うことも大事ではないか。

 

 

茨城県新型コロナウイルスの感染症の発生の予防又はまん延の防止と社会経済活動との両立を図るための措置を定める条例(案)骨子に関する意見募集について/茨城県

   → https://www.pref.ibaraki.jp/shokorodo/chusho/shogyo/2020korona/jourei.html

 

 

 

 

  喜四郎氏旗振る投票率アップ国民運動

 「長く続く強権的政権のもと、他に選択肢がない状況の中、多くの国民が政治をあきらめ、政治に失望し、絶望させられてきました。・・・投票所から遠ざかった有権者に、今一度、民主主義を守る闘いの共同戦線に戻っていただくことを強く訴えて参ります」と趣意書に決意が込められているようだ。

 

 7月初旬、中村喜四郎氏の呼びかけに反自民勢力の立民、国民、共産、社民、無所属から140名の議員が集った。次期衆院選では3年前の投票率から10ポイント増(約109万人)を目指して、署名活動を展開する。この人数は自民党員数に同じく、無党派無投票有権者を掘り起こし、民主主義の基本である国民の政治参加を促して政権交代を実現するという。

 

 喜四郎氏については会報No 17・33で取り上げた。本来の自民党政治の中で保守の薫陶を受け育った政治家である。しかし、現自民党には往時のしなやかさや懐の深さは無い。安倍政府は憲法と国会の軽視、三権分立を歪め、森加計桜と縁故忖度をはびこらせ、コロナ禍で迷走し逃げ回っている。喜四郎氏にとってはもはや拱手傍観の機に非ずの行動であろう。

 

 衆院選投票率は小選挙区制後70%代から60%前後に下った。安倍政権下、直近2回の選挙では投票率は53%前後に落ち込む。その背後には、政治参加への無力感があろう。「臥してなお投票に行くと老いた母」(藤井由紀子・岐阜県)。東京新聞平和の俳句が背中を押す。  
 

 

 

 

 いまだ戦争被害者は救済されず

 7月末「黒い雨」裁判で原告被爆者が全面勝訴した。現在も「国の線引き」で外されている人たちに被爆者手帳が交付されると喜んだつかの間、広島県市と厚労省はこれを不服として控訴した。高齢化が進む被爆者の無念は大きい。今年の広島平和記念式典、安倍首相は久しぶりに記者会見に顔を出した。敵地攻撃能力保有の質問が出ると、時間が過ぎて司会者が打ち切ろうとしたのを制止しても「国民の生命と平和な暮らしを守るのが政府」と得意げに答えた。

 

 戦後75年、国の救済から「棄民」状態でいる戦災者は多い。空襲で障害を負い、肉親を喪い、孤児虐待を生き抜いてきた人たちだ。

 

 国は1952年独立回復した際に、空襲した米国への請求権を放棄した。民間人の空襲被害者は放置したままだ。遡れば、満州では関東軍が開拓難民を置き去り退散した歴史がある。現在では原発事故による棄民状態が続いている。国は国民を守らないことを実証してきた。
 

「黒い雨」について(訴訟を支援する会)

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