戦争の過ちを二度と繰り返さないために

「9条の会さかい発信」2018.2 No11

2018年02月21日 22:55

憲法の基本と改憲

今、盛んに自民党の改憲案が新聞などで取り上げられています。安倍首相の意のままに運べば、年内には国会で改憲発議と採択ということも十分想定されます。
 私たちは改憲か護憲かを論ずる前に、主権者である国民が必ず知っていなければならないことがあります。その上で私たちは改憲の賛否を考えなければなりません。
 立憲主義の考え方では「憲法は国民ではなく国家を縛るためのル―ル」ということです。憲法99条は「天皇又は摂生及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」と定めています。つまり、憲法は国民に向けた義務ではありません。
近代国家と呼ばれる国ならば、国家権力を制限する憲法をもっています。国家権力というものはときに暴走して、国民の生活を脅かすことがあり、歴史がそれを示して来たからです。ついでにですが、国民への義務として憲法は何を求めているか?それは「教育、勤労、納税の義務」が国民の三大義務です。さらに言えば、教育と勤労には義務と権利の両方を国民に与えていることも知っておくべき大切なことです。
 話を最初に戻して、改憲についての各機関の世論調査結果が示されております。それら見ると、安倍政権の下では改憲に賛成が約3∼4割で反対が5∼6割のようです。賛否の割合からは直ちに改憲をするよりも国民の間でもしっかりと考えをまとめる時間が必要だと言えるでしょう。
従って、国民の多くが望んでいないなかでの安倍政権自民党の改憲行動は、国務大臣と国会議員に課した尊重擁護義務に反しております。まして、ときの政権の思惑や総理大臣の思い入れなどで国会議員と国民の尻を叩いて押し付ける改憲などは許されるものではなく、もっての他です。

 

 

自民9条改憲案への認識を!

 安倍総理は9条に自衛隊を書き込む案を示しましたが自民党には先に作った憲法草案9条があり、両案の一本化はまだはっきりしません。

憲法9条は「一項で戦争の放棄」「二項で陸海空その他の戦力不保持と交戦権を認めない」と定めています。
自民党草案9条は「戦力の不保持と交戦権の否認」が削除されています。「戦争の放棄」は一応残りましたが「集団的自衛権の行使」を認めております。さらに、「国防軍」という軍隊を持つことを明記しています。こうなると、今までの専守防衛に徹した基本理念から大きく逸れた軍事優先の日本に変貌することになります。

安倍案9条では、現行9条の三項として自衛隊を明記されると解釈されています。これまでの政府は、専守防衛に徹し、日本が外国から直接攻撃されたときにこれを排除するための実力部隊である自衛隊を合憲としてきたのです。しかし、法の実効性では後から付け加えられた条文が解釈の支配性を持つそうです。そうならば、安倍案9条は「戦争放棄」と「戦力不保持、交戦権否認」が死文化される恐れがあります。問題は、2015年強行採決の集団的自衛権安保法制によって、直接に日本が攻撃されていなくても自衛隊が同盟国軍と共同して海外で戦闘行為をすることが合憲化されてしまうことです。その先には、日本が他国の戦争に巻き込まれる危険が高くなります。それは9条草案も同様です。

2月14日衆院予算委、安倍総理の戦略上は先制攻撃が有利との発言報道です。戦争回避するための危機管理の不見識さと品格のなさに怒りを禁じ得ません。安倍改憲がいかに危険であるかを国民は認識すべきです。許せない!

 

 
 
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