戦争の過ちを二度と繰り返さないために
2016年平和行進に込めた核廃絶と平和への思い
リポーター:「9条の会さかい」事務局 大竹勉
今年の「原水爆禁止国民平和大行進」、5月4日北海道を振り出してから二か月後の7月7日(木)に古河→五霞→境→坂東→常総へとリレーされました。境からの参加団体は、町役場職員組合他さしま環境管理労組、西南医療センター労組等に当会が加わった。「9条の会さかい」は昨年に続いて二度目となり、内海さん、草彅さん、小久保さん、近藤さん、斎藤尚さん、八田さん、藤嶋さん、松澤さん、事務局大竹の9名が参加しました。また、柿沼さんは参加できない代わりに15枚ものプラカードを作って届けてくれました。今年は7月10日の参議院選挙を目前にしてか、行進先導車からは護憲、反戦争法コールが印象的でした。
平和行進参加者
境町役場前での平和宣言
午前の強い日差しのなか、五霞から引き継がれた行進は境道の駅を午前10時50分に出発。通し行進者2名に古河・五霞からの伴走行進者合わせて40名以上、暑さを考慮して最短コースで役場に到着。役場では、副町長、副議長、教育次長等の出迎えをいただきました。このような歓迎に通し行進者の挨拶は、北海道から東北・関東各県を歩いて来たが、県庁はじめ市町村役場で首長自らが庁舎の前まで出て迎えられたのは茨城県が初めてと謝意が述べられました。
昼食と併せて懇談会が境町中央公民館で行われました。自己紹介を兼ねて、参加者から核廃絶や平和への思いがそれぞれに語られました。印象に残ったところを紹介いたします。
今日(7/7)の平和行進担当事務局秋庭さんは、この運動を長く続けよう・広げようと呼びかけた。境町での行進を支えた境町職員組合小野委員長は、この平和行進に20年間参加して来た。今後も続けたいとの思いを語った。
通し行進者からは、フィリピン人の活動家との交流のなかで「日本人は、戦争被害者として訴えはするが、戦時中の日本軍がアジアで虐待行為を犯したこと、例えばフィリピン侵攻作戦においてアメリカ軍・フィリピン軍捕虜を多数死なせた『バターン死の行進』を知っているか?」との問いかけに過去の戦争への認識を新たにしたと語った。
「古河市9条の会」奈良代表は、戦後の占領政策下において原水禁運動は厳しい時代であった。運動する人たちには警察の監視の目がひかっていた。その当時と今では様変わりしたが、国民が声を上げることへの積み重ねが継続しているからこその成果であり、それが重要なことだと語った。
「古河新婦人の会」井上さんは「いつまでも戦後であるように」と戦後の日本人が誓った平和への思いの堅持を語った。
「9条の会ごか」青木代表は、作年広島を訪れたときの感想を取り上げて、広島に原爆が投下された朝、勤労動員で駆り出された中学2年生約6000人が即死した。一方、中学3年生は市から離れた場所への動員だったのでこれを免れたとの話を聞いた。当時中学3年生だった青木さんはこの悲劇に共感し、現地を訪れることの意義を語った。
核兵器廃絶を訴える原水禁運動は、今年の5月27日にアメリカのオバマ大統領が広島原爆記念碑を訪れた特別な年でもありました。このことが今年の運動の盛り上がりに一役買った印象を覚えます。しかし、忘れてはならないことがあります。2011年3月の福島第一原発事故から5年4か月経過した現在でも、福島県の避難者(全てが原発事故に起因するかは不明)は2016年6月現在で県外に約48,000人、県内に約41,000人(福島復興ステーションより)とまだ深刻な状況にあります。
その一方で多くの原発が休止しているなかから、新基準による安全審査を満たしたとして再稼働を開始する原発があります。九州電力川内原発1・2号機は既に営業運転開始しております。また、関西電力高浜原発3・4号機は安全審査後に大津地裁審判で再稼働差し止め中、四国電力伊方原発3号機は近々再稼働の状況が伝えられております。また、電力各社の株主総会が6月に開かれましたが、株主からの脱原発経営の要請が上がるなかで、いずれも否決されました。被爆被災者に対する責任よりも経済優先の経営姿勢が顕著です。
未だ原発依存が続くのなかで、事故当時18歳以下の子供を対象にした福島県民健康調査では甲状腺がん確定者が131人、疑いは41人と診断されています。しかし、県民健康調査検討委員会は「県内の甲状腺がんの発生は放射線の影響とは考えにくい」として、事故との因果関係を認めていません。その理由の一つに、チェルノブイリ事故の健康被害は5歳以下の子どもに多発した甲状腺がんが、福島では「放射線の影響を受けやすい5歳以下の子どもに発症者がいない」と評価してきたからです。ところが最近、事故当時5歳だった男児が「甲状腺がん、ないし疑い」と診断された事例が出てきました。これまでの因果関係を否定してきた論拠の一つが揺らぎ始めております。
私たちは、ひとたび原発事故が起きたならば多くの国民の生命・財産そして人生までも脅かされる原発の今後に関心を深めて声を上げていかなくてはなりません。今年の平和行進の機会に、原発事故への認識を新たにしました。
以上