戦争の過ちを二度と繰り返さないために

2016年3月の民主主義関連する話題から

2016年03月31日 01:30

 

3月になってしまいました。テーマ性のある話題記事に絞り込んで提供できないかと考えています。<9条の会さかい事務局 大竹 勉>

 

3月30日の話題をアップしました。

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※日付をクリックすると当日の話題にジャンプします。

 

 

3/30 「安保法 米軍と一体化鮮明に」柳沢協二元内閣官房副長官補(30日東京新聞抜粋要約)。

安倍首相は、安保関連法が施行された29日の国会で、北朝鮮の弾道ミサイル発射への対応を例に「日本を守るために互いに助け合える日米同盟に変わる」と強調、「安保法を廃止すれば、同盟の絆は大きく毀損される」と発言した。

この発言は、安保法の大きな問題点を言い表している。

●「日本を守るため」という前提なら、個別的自衛権と日米安全保障条約に基づき対応できる。安保法は関係ない。

日本を防衛する米艦の防護は個別的自衛権の範囲でできるというのが、従来の政府見解だ。

 

●北朝鮮がミサイルで威嚇し、交渉を望んでいる相手は米韓で、真っ先に狙われるのは両国だ。安保法で日本が守られるというより、「米国の戦争に巻き込まれる」意味の方が大きいのではないか。

 

●首相は安保活動を「米国に求められても日本は独自に政策判断する」と主張しているが、「安保法を廃止すれば同盟を毀損」と言うなら、廃止は独自の政策判断ではできないのか。この論理では、政策判断で断ればもっと「同盟を毀損する」だろう。

首相の言葉通りなら、自衛隊は米軍の一部として組み込まれ、独自の判断はできないことになる。

 

“どうも安倍さんという人は、米国にいい顔したい人物としか思えない。しかし、状況はもっと深刻だ。自衛官の命、日本のあり方、戦争に巻き込まれる日本国民の安全が脅かされるのだから”(事務局 大竹)

 

 


 

3/29 「2016年3月29日、日本は『戦える国』に変質」憲法学者山田健太専修大教授(29日東京新聞抜粋要約)。

 安保法制が施行され、日本は海外で「戦える国」になった。既に、国民の知る権利を侵す恐れのある「特定秘密保護法」が運用されている。さらに、高市早苗総務相の「電波停止」発言によるメディア規制の動き。この三つの連動は何を意味するのか?

 安保法が想定するような戦争や有事のとき、政府はこのような法律を使って言論コントロールにより、政権批判を封じ込め、世の中の空気を一つにしようとする。古今東西で行われてきたことだ。

 日清・日露戦争へと向かう明治政府は、為政者を批判する出版・新聞を取締る法律と条令をつくった。さらに、軍事上の秘密を探ったり、漏らすと、罰せられる軍機保護法を制定した。その延長上に昭和の治安維持法があって、自由主義思想や政府批判を弾圧した歴史がある。

 高市氏は政治的に公平でない放送を繰り返す放送局に電波停止を命じる可能性を言及した。この発言は、放送の自由を守る放送法の解釈を変えて、法方法を取締る法のように機能させることを意味する事実上の言論統制だ。

 高市氏は放送局の「公平性」を強調するが、「公正」とは、反論の機会を与えたり、社会的少数者の意見を尊重すること。「中立」もメディアが政権から距離を置き、独立していることを指し、高市氏が言うような政治的に真ん中という意味ではない。

 不幸にも現在の日本でも、情報公開の仕組みは最後尾で、取り締まりの制度は先端にある。見過ごしてはいけない。気づくと、この積み重ねが後戻りできな状況になっている可能性がある。

賢い市民、考える市民になるしかない。

 

 

いつまで政権批判のデモなどが取り締まりの網をかけられずにできるのだろうか思うと強い息苦しさを覚える。そうさせないために、声を上げているのだが!”(事務局 大竹)

 

 

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3/25 「高校生の政治活動『届け出なら違憲の疑い』」(24日東京新聞社説抜粋要約)。

 高校生の政治への関心をなえさせるだけでなく、表現や内心の自由を侵しかねない。校外での政治活動を届け出るよう求める学校の動きである。文科省は届け出制容認の見解を改めるべきだ。

 愛媛県の全県立高校が校則を変え、校外での政治活動に参加する生徒に、前もって学校に届け出る義務を課すという。高速変更について、中村時広県知事は「公選法違反事件に巻き込まれる可能性がある。今の段階では未成年を守るのは大事だと思う」と語る。

 しかし、教育行政の権限をやたらと広く解釈していないか。主権者としての権利を自らの責任で適切に行使できるよう、生徒を教え、導くことまでが学校の権限であり、責任である。生徒を疑い、恐れるあまり、校外での個人的な活動まで管理下に置くのは、越権行為というほかはない文科省は昨年十月、校外での生徒の選挙運動や政治活動を解禁した。ただし、違法なものや暴力的なもの、学業や生活に支障を来す場合などには制限、禁止しうるとの条件をつけた。これが届け出制の出発点となっている。

 

 


 

 

3/24 「進む野党共闘『自民に焦り』」(24日東京新抜粋要約)

 自民党が夏の参院選に向けた野党共闘の動きをけん制する広報ビラを作成した。この背景には、野党共闘の進展がある。参院選で共産党は候補擁立を決めていた30の改選一人区のうち、9選挙区で立候補を取り下げ、野党候補の一本化で正式合意。他の選挙区でも協議を続けている。

 「頑迷だった共産党が、安保法廃止の一点で本気を出してきた。自民陣営の焦りの表れではないか」と語るのは、五野井郁夫・高千穂大准教授(政治学)だ。広報ビラの内容には「理念なき談合と批判するが、平和の党を掲げる公明党との溝の方が深い。安保法で一致する野党の方が政策連携ができている」とあきれる。

 中野晃一・上智大教授(政治学)も、ビラについて「『民共合作』は、(大東亜戦争当時の)中国の『国共合作』のイメージに重ねているのだろうが、それに大日本帝国が負けた歴史を知ってのことか」とやゆする。

 中野氏は「共産党を最初に狙い撃ちしたナチス政権と(自民党が)ますます似てきた」と危ぶむ。「政治への嫌悪感が強まり、野党が分断されれば議席は維持できるという発想で、何となく怖いという印象操作をしている」

 

“「ナチスの手口を真似たら」の自民党はこのところ露骨なまでに情報操作を繰り出している。こっちのほうが余程怖い!”(事務局 大竹)

 

 


 

 

3/19 教科書検定「国の見解全面に戸惑い」(19日東京新抜粋要約)

 国の教科書検定で、領土問題などをめぐり、政府見解を前面に出すように求める動きが顕著となっている。

 政府見解が存在感を増す契機となったのは、2012年1月の地理歴史、公民の学習指導要領解説の改定だ。北方領土や竹島、尖閣諸島は日本固有の領土であることに加え、編入の経緯や解説に向けた努力の記述が求められるようになった。

 近現代史で通説的な見解がない数字については、そのことを明示し、政府見解がある場合はそれに基づいて記述するよう検定基準を追加した。ページ数が限られる教科書で、政府見解に厚みを持たせると、他の見解や他国の主張などが盛り込みにくくなる。

ある教科書会社の幹部は、政府見解に記述が収れんしていく状況を今の政治と重ねる。「政治は多数決で決まるわけではないと教科書に書いてあるのに、実際は数の論理で決まっている。民主主義って、こんな感じだったっけと疑問に思う」と打ち明ける。

社会科を教えている教員は「教科書会社が政府の意向を忖度しながら書かざるを得なくなっていて、表現がだんだん抑制的になっている。政府の考えに反した授業はするなという無言の圧力を感じる」と漏らす。

名古屋大の中嶋哲彦教授(教育学)は「教科書のバランスを考えるのは本来、政府ではなく、執筆者や編集者のはず、多様な見方が載っていない教科書で学べば、子どもたちも一面的な考え方しかできなくなる」と懸念する。

 

“政府見解と政治的な中立性やバランスとは違うはずなのに、そこに政府が介入することで検定すれば偏った教科書に仕上げられてしまう。本来、執筆する側と採択する学校側の良識的な作業のはずだ”(事務局 大竹)

 

 

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3/15 「命救うのに改憲必要ない」緊急事態条項に被災地首長否定的(15日東京新抜粋要約)

 自民党は東日本大震災を理由に、震災時内閣に権限を集中させる緊急事態条項の新設を掲げる。地元の首長は、憲法を変えて緊急事態条項を設けることへの疑問や改憲議論に震災が持ち出されることへの違和感を抱いている。

 個人の財産である家は勝手に壊せない。そこで、人命救助のために財産権を制限する必要が出て来る。これが緊急事態条項を必要だと主張する人たちの挙げる例だ。気仙沼菅原市長:必要であれば壊して行く。法律があろうとなかろうと関係ない。

 陸前高田市戸羽市長:震災を経験した我々からすると、国に権力を集中したって何もならない。被災地が一定の裁量を持つのが理想的だ。現場に任せてもらった方が復興が早い。緊急事態宣言で国の権限を都道府県に、都道府県の権限を市町村に下す緊急事態条項ならあってもいい。

 仙台市奥山市長:被災直後の住民が何に一番困っているか、目の前で起っていることを見ながら行動に移れるよう、市区町村の権限を強化することが大事だ。

 

“自民党の緊急事態条項は、首相に強大な権限を与えることであり、国民主権の崩壊につながりかねないことを憲法学者からは指摘されている。それこそナチスの手口を・・・を具体化したものだ。断じて成立させてはならない”(事務局大竹)

 

 


 

 

3/10 1.「隣接県住民の申し立て認定」福井県高浜原発停止命令(10日東京新聞抜粋要約)。

 関電高浜原発3,4号機の運転停止を隣接する滋賀県の住民が申し立てた仮処分で、大津地裁(山本義彦裁判長)は9日に運転差し止め決定を下した。

 仮処分決定で稼働中の原発が止まるのは全国初めてだ。申し立てた住民は原発の半径約70キロ圏内の住民。各地で同じ条件を当てはめれば立地県外でも多くの自治体に影響し、広域被害の議論に一石を投じそうだ。

 

2.「『保育園落ちた』共感者署名2万7682人」菅官房長官対応へ(10日東京新聞版抜粋要約)。

 子どもが入所審査に落ち、離職の危機にある都内女性の2月25日ブログ「保育園落ちた日本死ね!!!」は、3月4日に始まった署名活動は最初の48時間で二万人超、そして国会前デモへ発展した

安倍首相はブログ内容を「(投稿が)本当かどうか確かめようがない」と答弁していたが、デモが起こると待機児童解消の努力を強調。菅官房長官も9日「子育て家庭の切実な声に応えるよう全力を尽くす」と、対応を約束するまでに!

 

“この2件の話題が、国民が声を挙げることの大切さと有効性を証明しているようなものだ。民主主義を守るとは、とにかく国民が声を挙げるということだ。”(事務局大竹)

 

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3/3 1.「総務相『停波』発言に抗議」(日曜版しんぶん赤旗3月6日版抜粋要約)。

 高市総務相が、「政治的公平」を理由として放送局に電波停止を命じる可能性に言及した問題で、テレビのキャスター、コメンテーター有志が2月29日、都内で抗議の記者会見をした。

 会見したのは、岸井成格(しげただ)氏(NEWS23アンカー)、金平茂紀氏(報道特集キャスター)、ジャーナリストの青木理氏、大谷明宏氏、田原総一郎氏、鳥越俊太郎氏の6人。

 抗議アピールのタイトルには「私たちは怒っている」。「放送局の電波は国民のものであって、所管する省庁のものでない」と指摘。その上で、「所管大臣の『判断』で・・・行政処分が可能であるなどという認識は『放送による表現の自由を確保すること』『放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること』をうたった放送法(第一条)の精神に著しく反する」と厳しく批判。

 アピールは「自主規制、忖度、委縮が放送現場の『内部から』拡がることになっては、危機は一層深刻である」と、現在のテレビ報道を取り巻く環境の息苦しさについても述べている。

 田原氏は「発言に全テレビ局が抗議すべきなのに、放送すらしないことろが多い。これでは政府側は図に乗る」とテレビ局の姿勢をただした。

 岸井氏は「『政治的公平』は権力側が判断することでない。権力側の言うことだけを流していれば、国民の知る権利を阻害することになる」と強調。

 鳥越氏は「これは権力との闘い。自民党といえどもここまで露骨にメディアをチェックし、けん制してきた政権はない。政権をチェックするはずのメディアが逆にチェックされている。(同じ思いの)人が手をつないで下から変えていくしかない。(現場から)反転攻勢を」と呼びかけた。

 

.高市氏発言「放送を委縮」立憲デモクラシーの会が批判(3日東京新聞抜粋要約)。

 憲法学者らでつくる「立憲デモクラシーの会」は2日、衆議院第二議員会館で記者会見し、「放送事業者の表現活動が過度に委縮することは免れない」と批判声明。

 声明は、放送法が求める「政治的に公平であること」などの原則は「抽象的な要請にすぎない」と指摘。憲法で表現の自由が保障されているのに、漠然とした放送法の文言のみを根拠に放送事業者を処分すれば「違憲との判断は免れ難い」と主張する。公平性に反するかどうかを政党の政治家である閣僚が判断することも問題視している。

 樋口陽一東大名誉教授は「なんびとも自分自身が関わっている事柄について、裁判官となってはならないというのは、自由民主主義社会の基本原則」と政府の姿勢を批判。

 坂口正二郎(一橋大教授)は「政治が放送をコントロールすることは危険。政府にとって都合のいい情報しかメディアから入ってこなくなれば、国民が主権者でいられなくなる」と訴えた。

 

 


 

 

3/2 「名ばかり『一億総活躍』」(2日東京新聞「こちら特報部」抜粋要約)。

 「保育園落ちた日本死ね!!!」。そんな刺激的なタイトルのネット投稿が話題だ。子供の保育園の入園審査に落ちた匿名のブロガーが「一億総活躍社会じゃねーのかよ」と憤る。待機児童問題の深刻さを物語るエピソードはネットで拡散され、国会でも取り上げられた。「総活躍」とは程遠い子育て環境、振り返れば安全保障法制の強行、最近は閣僚の不祥事。国民の怒りは沸点に達しているかに見えるが、なぜか安倍内閣支持率は下がらない。

 話題の投稿が、人気サイト「はてな匿名ダイアリー」に登場したのは2月15日。安倍首相の看板政策「一億総活躍社会」を「どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか。子供を産んで子育てして社会に出て働いて税金納めてやるって言ってんのに日本は何が不満なんだ? オリンピックで何百億円無駄に使ってんだよ。エンブレムとかどうでもいいから保育園作れよ」とメッタ切り税金の使い道に文句。

 ネットには政治に対する怨嗟の声があふれている。安倍首相は昨年9月、20年までに「介護離職ゼロ」を目指すと表明した。だが、ネットには現場を知る人から「職員の待遇改善が先。ただでさえ人手不足。虐待問題を増やすだけ」と批判が殺到した。

 安保や原発問題では、ネットにとどまらず、多くの人が路上で「安倍政権ノー」を叫んでいる。黄色信号がともっているアベノミクスも例外になく、若者の就職難や格差拡大に業を煮やした大学生らは昨年10月、最低賃金引き上げなどを求める「AEQUITAS(エキタス)」を結成、数百人規模のデモを繰り返す。中心メンバーは「現政権の打倒を目指す他の運動との連携も可能だ。まずは政権交代しないと始まらない」と。年金生活者も立ち上がっている。13年から公的年金の減額は生存権を保障した憲法に違反するとして昨年5月、約1500人が訴訟を起こした。メンバーからは「安倍政権には退陣してもらう以外の選択肢はない」と言い切る言葉が。「安倍政権ノー」を叫ぶだけではだめなのか。

 碓井広義上智大教授(メディア論)はメディアのあり方を問題視する。「安倍首相は母親のブログにつれない対応したが、メディアもこれに準ずるところがあるのではないか。背後に膨大な数の同様の声があることを知りながら、その意見を取り上げると安倍政権に対する批判になるからと、あえて見て見ぬふりをしているように思えなならない」。

 五野井郁夫・高千穂大准教授は「今の日本は、金持ちだけ政治家に口利きしえもらい、利益を得ることができるような社会。公正な政治を取り戻すためには、お金のない大多数の人々は、不満に対して声をあげつづけなければならない。そうしないと表現の自由すら権力側は奪いにくる。メディアコントロールの次は、国民の声が封じられる」と警鐘を鳴らす。

 

 

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